ヴァルター・ベンヤミン著作集 9 (9)ブレヒト
ヴァルター・ベンヤミン著作集 9 (9)ブレヒト / 感想・レビュー
はる
ブレヒトの二三の作品を読み演劇とは何かしら?と軽い気持ちで手に取った。ブレヒトの求めた演劇は観察すれば日常の雑多な状況が舞台にあることに気付く観客と演技者の訓練と実践の叙事的演劇という。彼に言わせれば、アリストテレスからの自然主義的演劇は魂を自然と同化させ、恰も劇への感動を現実の状況から目を背けてしまう。ロマン主義画家たちの自然への畏敬の絵画の中に人を無力な存在として描くに対し、時代の政治傾向に目覚める訓練の教壇として対置した。観客は凡そ劇への脈絡のない闖入が事態の進行を止め、その事が笑を誘う→
2022/02/03
うえ
演劇論とブレヒト論、ブレヒトとのやり取りを収める。「昨日、スヴェンボルの病院の一室で、ブレヒトと長いあいだ話した。ぼくの書いたエッセイ『生産者としての作家』が話題の中心になった。そのエッセイでぼくは、文学の革命的な機能を判定するための決定的な規準は、芸術形式および精神的な生産手段の変革をもたらす技術上の進歩が、どの程度にまで進んでいるかという点に存している、という理論を展開したのだ。ブレヒトは、この理論が該当するのはただひとつのタイプだけにすぎないといった…ブルジョワ階級出身の錯覚というタイプだけに。」
2023/06/20
ルートビッチ先輩
ベンヤミンによるブレヒト論集。叙事的演劇に関してから、具体的な作品、(弁証法的行いとしての)詩の注釈、「生産者としての作家」(技術に関する議論として「複製技術時代の芸術」と関わるもの(解説))、ブレヒトとの対話の記録など。ベンヤミンが強調するのは、叙事的演劇が中断を用いることで観客の思考をうながすこと(そして討論がはじまる)である。そこで行われる観客と舞台との関係の再構築は「生産者としての作家」において劇場の機能の変換であるとされる。そしてそれはまた生産装置の変換のポジティブな仕方だ。そのような意味で
2014/11/19
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