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幻獣辞典

幻獣辞典

幻獣辞典

作家
ホルヘ・ルイス・ボルヘス
マルガリータ・ゲレロ
柳瀬尚紀
出版社
晶文社
発売日
1974-12-01
ISBN
9784794922861
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幻獣辞典 / 感想・レビュー

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春ドーナツ

枕元に置いて眠りにつく前の数刻、パラパラと拾い読みする。夢の中で再会できることを願いながら。***私が手紙を書いていると、隅壺の猿はそのそばに胡坐をかき、手を重ね合わせてうずくまり、終わるのを待っている。それから残った墨をすっかり飲んでしまうと、満足して静かに尻をついて座る。(145頁一部改変)***簡潔で淡々としたポーカーフェイスみたいな文章なのだけれど、語られる内容は奇術師フーディーニのように驚きと知的興奮に満ちている。変幻自在な引用の数々に魅了された。バベルの図書館の蔵書を全て読んだに違いない。

2018/10/04

白義

想像力の宇宙の博物誌。特徴としてはその博識による徹底的な原典主義で、バハムートなど多くの著名な幻獣たちの、現代的イメージが形成される以前の元の姿が明らかにされている。さらに、神話、伝説にかぎらず、人の想像力によって生きる幻獣ならば文学者や哲学者によるものすら対象となっており、カフカが生み出したオドラデクや、コンディヤックがデカルトを批判するために考案した形而上学生物と、神話のヴァルキリーらがともに並び違和感がなく、テキスト自体が哲学的。文庫もあるがこちらのほうが挿絵は多めのようで今回はこちらを読んでみた

2016/04/03

山口透析鉄

この本だったか、ちょっと記憶が定かではないのですが、これも高校の図書室本で借りて読みました。柳瀬尚紀氏の翻訳ですので英訳版からの日本語訳でしょうね。敢えてこうしたのは柳瀬氏の卓越した手腕をかってのことなのでしょうかね。 他の本は原著から翻訳されているので、ちょっと気にはなりましたが、ボルヘスはボルヘスでしたね。

1987/05/23

ヨコツ

文学界の怪物であるボルヘスが、東西古今の架空の生物を蒐集した本。有名どころからマニアックなところまで、縦横無尽に好き勝手詰め込んだびっくり箱の様。辞典と銘打ってあるものの、その本質は辞典的な情報にあらず、極々ショートな読み物として接するのが正解である。根を詰めて一気に読むのではなく、気が向いたときに適当なページをぱらりと開いて、香り立つ幻想を味わうのがおすすめの読み方。

2013/06/13

酔花

この本が多くある架空生物辞典と一線を画するのは、その記述が原典から忠実に引用されており、現代的イメジで修飾される以前のありのままの幻獣の姿を復活させている点にあり、また叙事詩や伝承、百科事典の影に埋もれているような存在にも焦点をあてたことにあるだろう。通覧することで、幻の動物たちに共通して見られる特徴や傾向に人類の普遍的心理を垣間見ることも出来そう。一編一編が上質な幻獣譚としても機能しており、著者であるボルヘス自身が訳者のいたずらによって幻獣の仲間入りさせられているなど遊び心も豊富で楽しい。

2013/11/17

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