壜の中の手記 晶文社ミステリ
壜の中の手記 晶文社ミステリ / 感想・レビュー
紅はこべ
再読。この時代の晶文社は良かったな。巻頭作はお馴染みの名作。表題作は宮澤賢治の名作童話を髣髴とさせる。何で西洋人ってこの手の話が好きなんだろう。未開の民族、詐欺、宝探しといったテーマが多い。騙しが成功したと思わせて、結局は報いを受ける的な。「破滅の種子」はリドルストーリーぽい。指輪の呪いは真実だったか、それとも息子が安物の偽物に高額を払ったのがショックだったのか。「ブライトンの怪物」は日本人にはショックな作。
2016/10/18
みっぴー
奇妙な味。怪奇でもなく、幻想でもない。日本でこういうテイストを書ける作家といえば、夢野久作くらいしか思い当たらないです。『黄金の河』ー胡桃大好きなので、割れちゃったシーンで泣きかけました。『ブライトンの怪物』ーただただ衝撃。『刺繍針』ートリックを図で描いてほしかった。『時計収集家の王』ーストーリーが完璧すぎる。時計狂いの王に仕える時計職人の話。『狂える花』ー花に精神異常者の血液を与えるという設定が、気味悪くて好き。カーシュの作風は、切れ味の悪いナイフで肉をギーギーするような世界観。
2018/10/15
本木英朗
晶文社ミステリ第二回配本。オビに冠された全編、まさに奇譚としか表現しようがない話ばかりで構成された驚くべき短編集です。収録作品は全部で12編。そのどれもこれもが作者の途方もない想像力から生み出されており、読者はページをめくった途端に「恐怖と奇想の王国 カーシュ・ランド」へ足を一歩踏み入れることになるでしょう。そしてその一歩は、二度とは帰ってこられないほど恐ろしくも魅惑的な一歩であると言えます。僕のお気に入りの作品は次の四つです。各自、簡単なあらすじと感想をつけてご紹介。
本木英朗
英国のSF・怪奇・ファンタジー小説家のひとりである、ジェラルド・カーシュの、日本独自の短編集である。俺は今までに東京で3回、弘前で1回読んでいて、今回で5回目である。無人島で発見された白骨に秘められた哀しくも恐ろしい愛の物語「豚の島の女王」を始め13編を収録。どれもこれも、超凄かったのであるが、中でも俺的には、「骨のない人間」&「ブライトンの怪物」の2編には、本当に大満足だったのよねえ、うん。さすがは作者でありますなあ。(→)
2023/07/29
アプネア
奇想と諧謔に満ちた12の短編集。寓話的なものからSFと作風も振り幅が広く、こんな作家がいたのか〜。白眉は表題作「壜の中の手記」:アンブローズ・ビアスの失踪を題材にした不穏な秘境もの。うわ〜これって「特別料理」のアミルスタン羊じゃね。あと、良かったのは「豚の島の女王」、「黄金の河」、「ねじくれた骨」、「ブライトンの怪物」、「破滅の種子」。
2023/06/18
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