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廃墟の歌声 (晶文社ミステリ)

廃墟の歌声 (晶文社ミステリ)

廃墟の歌声 (晶文社ミステリ)

作家
ジェラルド・カーシュ
Gerald Kersh
西崎憲
出版社
晶文社
発売日
2003-11-01
ISBN
9784794927392
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廃墟の歌声 (晶文社ミステリ) / 感想・レビュー

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kana

イギリス出身の作家による奇想短篇集。実は10年来の積読を崩して読む。日本で言う妖怪のように土着の人ならざる存在がすっと忍び寄る作品が多く、その語りは落語のように滑らかで趣深い。イギリスが島国だからなのかこうした作品の精神性に昔から私は惹き寄せられるような魅力を感じて、時々その世界に浸りたくなるのです。『クックー伍長の身の上話』のドラマチックな半生も『ミス・トリヴァーのおもてなし』のぞっとする一夜も『カームジン』シリーズの洒落の効いた悪事の顛末も、一筋縄でいかないシニカルな展開が素敵でした。

2020/04/18

藤月はな(灯れ松明の火)

「乞食の石」は隠されていた価値を知ったがゆえに元々の価値を失ってしまうという宗教や科学の台頭での社会の変化でもいえそうな皮肉を描いているように感じました。グリム童話を基にしたような「魚のお告げ」や天性のほら吹きか、詐欺師だけど瓢箪から駒になったり、笑える失敗も持つ人間味を持つカームジン・シリーズも中々、いい味を出しています。「ミス・トリヴァーのおもてなし」は怖いです。伏線の回収が見事な「一匙の偶然」には拍手喝采です^^

2013/04/24

きゅー

独特のオカルトチックな雰囲気が漂う短篇集。彼の作品では細かいディテールが綿密に書き込まれることが多い。例えば「魚のお告げ」ではウェールズ地方の歴史が、「クック-伍長の身の上話」でも過去数百年の戦争が体験談として語られる。そういった微細な事実の積み重ねの上に、大きなほら話がデンと乗っかるので、ある種の真実味が感じられてそれが良い味になっている。ほら話としてはカームジンのシリーズはかなり面白い。これも荒唐無稽ながらどこか現実的なところもあり、そのバランスの良さが際立っていた。

2013/02/12

shamrock

丁度4年ぶりの再読。やはりカーシュの紡ぎだすストーリーは格別だ。幻想小説から法螺話(とはいえ人に信じさせる力がある)まで。表題作は仰天の事実が明らかに。「無学のシモン」は書簡の形で一人の男の(2人か)人生を語り下ろす。「クックー伍長の身上話」は聞き書きの形で船上で出会った不思議な男を回想する。その他どれをとっても一級品の短編集。カームジンシリーズは、別に1冊にまとまるほど面白い、カーシュらしい法螺話(だから違うってば)。あとがきによると、カーシュ本人はカームジン人気があまり気に入らなかったらしいけど。

2014/04/09

すけきよ

お気に入りは『無学のシモンの書簡』『一匙の偶然』『飲酒の弊害』『クックー伍長の身の上話』『カームジン』シリーズ。前回の『壜の中の手記』のような薄気味悪い話はむしろ少なくて、落語みたいな小咄が多かったような読後感。『カームジン』が多かっただけか?こっちの方が好みかも。

2004/02/09

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