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深呼吸の必要

深呼吸の必要

深呼吸の必要

作家
長田弘
出版社
晶文社
発売日
1984-03-20
ISBN
9784794935267
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深呼吸の必要 / 感想・レビュー

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やすらぎ

子供から大人になったときっていつだろう。はっきりした区切りのない気持ち。私は、うん、わかった気がする、そう思えた日を覚えている。決心があったわけではなく、雨に濡れたわけでもないけど。今思えば、もう戻ることのない遠くへ向かって歩き始めていたのだろう。立ち止まればまだ戻れるのに振り返ることもせず。目の前にはいくつもの扉が見つかって、開ければ新しい景色を知れるのに、なぜかできない。恐れなのか不安なのか、深呼吸しても落ちつかなかったあの雨の日も、今は遠い記憶になった。そして花が薫る。そんな心情が蘇る散文詩33篇。

2024/02/17

ヴェネツィア

およそ詩集らしくないタイトルだ。後記に「言葉を深呼吸する。あるいは、言葉で深呼吸する」とあるのには大いに納得。そうだ。僕たちは何をするのにも急ぎすぎているのだ。時には立ち止まって深呼吸する必要があるのだった。詩集は「あのときかもしれない」の連作詩と、24篇の詩を収める「おおきな木」からなっている。僕たちが大人になってしまったのは「あのときかもしれない」のだ。そんなときがいっぱいあるけど、でも「あのとき」はもう戻ってはこない。詩はどれもゆっくりと歩くようなリズムを刻む。そして、ひらがなのやさしさを再認した。

2013/06/07

新地学@児童書病発動中

繰り返し読んでいる大好きな長田さんの詩集。「あのときかもしれない」と「おおきな木」の2章に分かれている。穏やかな緑色の活字と余白の多いページの中で、ほっと一息つけるところがある。ただしこの詩集は癒しだけではなく、自分の生き方を見直せる哲学的なところもあると今回読んで気づいた。「あのときかもしれない」は子供時代に帰って、自分が大人になった瞬間を詩の言葉を通して追体験できる。「おおきな木」は木、花、風、星、夕焼けといったありふれたものがどれほど私たちの生活に恵みをもたらしているか教えてくれるのだ。

2015/04/17

新地学@児童書病発動中

もう10回は読んでいる詩集。私の宝物の一つ。緑の活字が目に優しい。心にも優しい。この詩集を読んだことで、木、公園、原っぱ、団栗などの身近なのものをじっくりと見つめて、その中にある詩情に気付くようになった。そんなありふれたものが、自分の人生にどれほど大きな意味を持っているか気づくことは、生きていく上で大切なことではないか思う。今回は「あのときからもしれない」の8が心に強く響いた。この中に出てくる「父親」と、現在目の病気で苦しんでいる父を重ね合せて読んだ。

2017/01/02

❁かな❁

仲良しのお気に入りさんの感想を読んで図書館で借りてみました!日常の風景を飾らない透き通った言葉で綴られた絵のない絵本。『あのときかもしれない』『おおきな木』の2章からなる33編の散文詩。初めて長田弘さん読みましたが、こちらの作品、本当に言葉で深呼吸するような感じです。ゆっくり静かに心が落ち着きます。あとがきに言葉の深呼吸の必要を覚えたときに、立ちどまって、黙って、必要なだけの言葉を書きとめた。そうした深呼吸のための言葉が、この本の言葉の一つ一つになったとの事でした。とても情景が浮かぶ温かい言葉たちです☆

2013/09/26

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