すべてきみに宛てた手紙
すべてきみに宛てた手紙 / 感想・レビュー
ふう
目の前にいない「きみ」にむかって書かれた39通の手紙。どの手紙もしっかり作者の思いが伝わってきたわけではありません。何回も読み返さなければ理解できない手紙もありました。でも、心に沁み入ってくる手紙もたくさんありました。いつもは本に付箋など貼らないのですが、この本には思わず貼ってしまいました。5『詩は語るためのことばではありません。黙るためのことばです。』という文にふれたとき、その思いの深さに救われれたような気がしました。39「痛み」への手紙でも。絵本、冬の音楽、フォークナー…。訪ねてみたいと思います。
2015/10/10
Roy
★★★★★ 目の前にいない「わたし」に宛てて書かれた39通の手紙を読んだ。伝えたい思いをありのまま文字に変え、大切に綴られた手紙には、心に響く力がある。これは容易なようでそう簡単に出来ることではない。詩人は本書で「書くということは、二人称をつくりだす試み」だと言っていた。僕は書くということは「わたし」に実直でいなければならない試みだと思っている。「わたし」と「あなた」は常に、そのような関係にいなければならないと思う。それが心なのではないだろうか。
2009/09/12
ぱせり
長田さんの手紙の中には、たくさんの言葉の灯りがちりばめられている。暗い世界に灯を灯す。考える、ということは、言葉から始まるのだろう。言葉を探すことが、考える、ということなのだろう。感じることから、考えることにシフトするために、私も、拙いけれど言葉を探そう。十年以上前に書かれたこの「手紙」は、今の時代に開封されるのを待っていたようです。
2014/01/13
紫羊
詩人が書く散文には独特の美しさがある。39通の、長田さんから私宛の手紙だと思って読んだ。言葉の持つ力や、読書の喜びなどが題材になっている。手紙2は阪神淡路大震災と杜甫の詩について、手紙3は、沢庵宗彭が羽州上山に配流される途上に、著者の生まれ育った福島市にのこる地名を詠んだという歌が記されている。しかし語られているのは無常ということだけではない。「ふみよむあかり」や「ただ結びあわせよ」など、心があたたかくなるような手紙もあった。
2013/12/01
joyjoy
手紙9「世界は(あなたの)一冊の本」、を読んで、「本を読もう。」と決めた。~風景を見る。世界を見る。風景を、世界を読む。世のすべてのものがもつ自らを語る物語を、じっと聞きとり、自分自身の言葉で書きとってゆく。~わたしにできるかな? 世界という本を読んでいくためには本を読むだけでは足りない。でも世界という本を読んでいくために、この本のような本がきっと助けになる。くり返し読みたい手紙たち。
2024/01/06
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