本の音
本の音 / 感想・レビュー
踊る猫
堀江敏幸が語る本の紹介はどうしてこんなに面白いのか。いや、さすがに1冊読み通すとなるとその一本調子なところというか「どんな本も一定のテンション/ノリで語る」ところに辟易しなくもないのだけれど、それは裏返せば彼がきわめて誠実に1冊1冊の本たちと向き合い、四つに組んでいるからだと思う。そこから、もちろん書き飛ばしたりいたずらに扇動したりすることなく、ていねいに勘どころをこちらに伝えて本の世界に誘導しようとする堀江の職人芸はそれ自体1個の芸術品であり、1編1編の書評が時計のように精巧に組み立てられた細工だと思う
2023/08/26
はやしま
1990年代から2001年まで、即ち20世紀末から21世紀に入った頃にあちこちのメディアに掲載された書評集。フランス文学多め。各書評の堀江氏の文章があまりにも完結していて、論評集のようでもあり、本を読んだ気分にもなってしまい、結局この本から読みたい本へと登録したのは2冊。既読は先月読了したの平出隆『葉書でドナルド・エヴァンズに』1冊のみ。分類(「1.愛と孤独について」「2.言葉について」など)と各書評のタイトルも秀逸。さらにこの本が自分にとって魅力的だったのは、実は装丁のペンギン。
2020/10/24
ハイサイ
リービ英雄の原点を知ることができる『国民の歌』、雨の匂い立つ小説『名誉の戦場』ジャン・ルオーに巡り会うことができた。書評というジャンルとは違った柔らかく心地よい文章が続く。一つの作品に誠実に向き合う著者の人柄が浮かんでくる。
2011/05/20
くるみみ
小説や評論、エッセイなど多岐に渡る、堀江氏の書評を纏めた一冊。 本を読んだ時に感じる、ある種の旋律。気の利いたタイトルや扇情的な宣伝文句では決して伝えることのできないその音色を言葉に換え、テーマ別に分けて綴じてある。(カバーの袖部分引用) ほぼ読んだこともタイトルさえも知らない本ばかりだったけれど、堀江氏の静謐な筆致に必死にしがみついて読みました。興味を惹かれた本、数冊見つけました。 流れる文章が作り出す空気に惹かれるのって気持ちがいい。
2014/12/17
hirayama46
フランスと日本の書籍を中心に書かれた書評集。まさしく書評集であり、どの本も短いながらも鋭い批評眼によって晒されております。ちょいと難解なので読む方のプッシュにはなりにくいけれど(フランスの小説ならまだしも、ノンフィクションはちょっと厳しいですし)、読みものとしてはやはりたいそう良いものだなあ、と思いました。
2011/12/26
感想・レビューをもっと見る