世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい
世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい / 感想・レビュー
踊る猫
当たり前のことを書くと、人は自分の価値観というフレームをなかなか出ることができない。そこから出るためにこそ、森達也のような心優しきアウトサイダーの声を聞き、そしてそれだけにとどまらず自分の内なる両親と自己内対話を重ねる必要があるのだろう。オウム真理教を相変わらず狂人の集団と見なすのもいいかもしれない。だが、そこにたどり着くまでにぼくたちは森が体験/実践しているような自己内対話と葛藤を繰り広げているだろうか。それについて考えるのも一興ではないかと思う。読みながらここまで自分のフレームを壊し続ける姿に畏怖する
2023/12/17
Tsuka
メディアに叩かれ、皆に叩かれている人がいても、公平に見て接してあげよう。思考停止は危険だ。世の中の人の憎悪を集めるパブリックエネミーとされている人や団体も本質を見てあげるべき…言われるが、修行の足りない自分には難しいことかもしれない。オヤジの呟きみたいな本だが、その意味で森さんはスゴイ…のかなぁ。 追加の感想…森さんではない人が作った映画について書かれていた。タイトルとは真逆なもの。お爺さんたちの行った戦争での残虐行為、生々しく恐ろしく記憶に残った。
2020/12/05
二人娘の父
伊坂幸太郎が「グラスホッパー」文庫本巻末で、唯一、参考文献としてあげていたのが本書だ。どこを、どのように参考にしたのかは、もう一度「グラスホッパー」を読んでみないと、よく分からない。しかし通底する考え方のようなものは、なんとなく分からないでもない。細かいことだが、辻元清美さんの名前が2回出てくるが、いずれも「辻本清美」になっている。そういうとこ大事だと思いますよ、編集者さん。
2024/05/08
すん
2003年の本。著者の映画A2の公開前後の時期の雑誌コラムをまとめた本。印象に残った話はシリアの映画祭に行ったときの青年ナジーブが日本に失望したという話。「日本には本当に期待していた。先進諸国の中で唯一の非キリスト教国家で太平洋戦争では原爆を落とされ敗戦したのにその後の経済成長や平和憲法という理念などあらゆる意味でアラブ諸国の手本になる国だと思っていた。だけどテロに対して報復を宣言したアメリカに対して日本は他のオプションを呈示できる国だったはずなのに何も示せなかった。日本には一番失望させられた。」
2019/08/19
抹茶ケーキ
映画監督のエッセイ集。すごく心動かされたから上手く要約できないけど、普通の人が行う悪とそれに対する無自覚な憎悪の肥大。世界は善い悪いという単純な二元論では語り尽くせないこと、そしてそうであるがゆえに世界は豊かなこと。そのあたりのことがテーマなんだろうなと思った。多くの人に読んで欲しいなと思った。
2016/04/02
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