アメリカン・コミックス大全
アメリカン・コミックス大全 / 感想・レビュー
梟をめぐる読書
日本を代表する世界コミックの紹介者である小野耕世さんの文章やインタビューを、1970年代から2005年までの範囲で纏めたもの。要は『ウォッチメン』以前から9.11以後まで幅広い状況をカバーしているということで、その話題もスーパーヒーローコミックスから新聞連載まで多岐に渡る。80年代後半以降の主流であったヒーローコミックスの社会派路線に対して「架空のヒーローが現実の社会問題に立ち向かうことの無理」が露呈されてしまった出来事が9.11テロだったという指摘は、リアルタイム邦訳作品の純粋活劇化を見てももっとも。
2013/03/13
kokada_jnet
2005年刊行。1974年の『バットマンになりたい』以降に書かれた、著書のアメリカン・コミックスに関する文章を集大成。新聞連載マンガについての言及はこの人ならでは。「スタン・リー神話」崩しの部分も興味深い。
2012/07/31
Z
アメリカ漫画の歴史。日本と漫画の環境が違い、comic bookとよばれ、新聞と一緒に街頭のスタンドで売られるが、一般書籍とは違う書店で、売られる形態のよう。どのように作品が産み出されたかをたどっていて、重い書物ではなくさくさく読めた。アランレネが漫画好きでインタビュー載ってたのがびっくり。あと日本の漫画との違いであっちの方は、登場人物の目が小さめで、ボディランゲージで感情あらわす、客観的な描写が多く、日本のように登場人物が怒ったとき、劇画状になったり目が飛び出したりなどデフォルメは少ないそう。
2015/07/12
Ecriture
19世紀末に新聞連載漫画として始まったアメコミの歴史を、新聞連載漫画、ヒーローコミックス、オルタナティブコミックスの3章で21世紀までまとめる。デイヴィッド・マッツケーリへのインタビューも載っていて、そこで言及されている、2006年に完成予定の300ページ越えのグラフィックノベルというのが、2009年に出版される『アステリオス・ポリプ』のことで、明日、2024年9月18日にその邦訳版が出版されます。
2024/09/15
nizimasu
一般的にアメリカのマンガというといわゆるマーヴェルやDCのヒーローものとピーナッツみたいなカートゥーンに分けられると思いきやそれ以外にも様々なオルタナティブと言われる作品群があるのが後半にぞろっと紹介されていて楽しめた。元々ヒーローものの流れから読み出していたので、マーヴェルとDCのマンガの成立やスタンリーのインタビューなどもあってこの業界の栄枯盛衰みたいなものも垣間見えて実は映画化されるまでの苦境やフランクミラーのダークナイトの評価なんかも映画の文脈とは違ったり3.11でのドゥームの表現とかいやはや堪能
2016/05/10
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