子どものための美しい国
子どものための美しい国 / 感想・レビュー
joyjoy
コルチャック先生の作品。英訳からの日本語訳は中村妙子氏。幼くして王となったマットが、子どもの視点から改革を図る。子どもの知恵と力だけでは難しいことがたくさん。問題も次々と。しかし、コルチャック先生の孤児院では、実際に子どもたちが議会を開いたり、新聞を発行したりしていた。。。子どもの人格を認め、信頼する。実際にはなかなか難しい。先生のしたこと、あらためてすごいことだなと思う。その後のマット王を描いた続編、読んでみたいが邦訳されていないようで残念。
2022/01/15
madoriel
日本ではあまり知られていないが、たまたま見つけて気になって読んでみた児童書。しかし、童話としてはすごく読み応えがあり、星の王子さまやモモなどの名作に分類させるべき、大人も読んでおきたい1冊だった。現代にも通じる社会問題が揶揄されていて、大人と子どもの世界は別だと描かれる中で、やがて子どもは同じような大人になっていくだろうことも示されている。子どもの国王マットは、素晴らしい人格の持ち主だが、知識・経験不足の点で大人に敵わない。しかし子どもこそ、国の未来を担う尊重すべき対象だと改めて実感させられた。
2021/05/11
ぱに
ポーランド行く前からずっと気になってた。本の内容もさることながら、ユダヤ人の子どものための孤児院を開き、ゲットーに送られ、逃げるチャンスを何度も与えられながらも、子どもたちとともに収容所で殺されることを選んだ筆者のコルチャックが気になってた。内容は、想像以上にシビア。大体タイトルに「子どものための〜」って入ってると、逆に大人向けだよね。父王が早くに亡くなり、幼いながら後を継ぐことになったマット王の治世。戦争、他国訪問、国会開設…など、ファンタジーと現実が絶妙なバランスで展開されています…。長いけどお勧め。
2014/09/10
ティパリン
「しかしあなたがたはわが国が大人と同様、子どもからも成り立っていることをわすれています」コルチャック先生が言いたいのは、まさにこの部分ではなかろうか。子どもらしい誠実さ聡明さでもって、子どもっぽいが大胆な改革をすすめるマット。結末は悲しい。大人であることの責任を感じた。
2013/10/05
感想・レビューをもっと見る