吉本隆明全集〈8〉 1961-1965
吉本隆明全集〈8〉 1961-1965 / 感想・レビュー
毒モナカジャンボ
言語存在の自然法的研究を担うのが言語学だとするならば、本書は創造行為の一つである言語表現の科学であって、言語学とは別個に十分並列しうる試みだと思う。しかし言語表現の核心に指示表出と”自己”表出を置いたことは勇気のいることだったに違いない。思想界において既に主体は解体されつつあったのだから。しかし原理的に考えることを旨とする吉本の姿勢からすれば、言語表現に不可欠なものは何よりもまず言語であり、それを紡いだ作者である。言語の意味と価値を先述した二つの表出のコアの違いに見出し、文学の価値を定義しきる。
2020/05/26
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