吉本隆明全集〈9〉 1964-1968
吉本隆明全集〈9〉 1964-1968 / 感想・レビュー
猫丸
「カール•マルクス」「自立の思想的拠点」を収録。1964〜65年頃の論考。吉本思想の中心命題「思索する者は大衆の原像を常に自らに繰り込まねばならない」が現れる。チャチな党派性による政治は思想家の死を意味する。当時は革新派が中ソを拠り所にできた時代であり、低級な思想であっても衆を恃むことで大きな顔ができた。彼らはその後揃って消えていく。吉本は独歩し、迂遠に見える仕事を継続する。現代の僕らのたたかいにおいても、安易なスローガンに依拠したり、内輪構造に取り込まれる危険に意識的でありたい。
2018/07/28
毒モナカジャンボ
反戦後民主主義者、反スターリニストとしてマルクスの思考を徹底的に救い上げようとした吉本、罵倒までもがマルクスの辛辣な口調に重なってくるので面白い。対幻想(家族)をいくら集めても共同幻想(国家)は作れずそこには飛躍があるというのはそう。社会的国家と政治国家の違いを分けないために俗流マルクス主義はダメだという。心身の捉え方が本当にわからない。自己が現にあることの認識が時間的な了解性、ここにあることが空間的な関係性であることはわかるがその噛み合わせのねじれがなぜある種の精神病理に結びつくのか。心的現象論読むか。
2020/06/10
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