吉本隆明全集〈11〉 1969‐1971
吉本隆明全集〈11〉 1969‐1971 / 感想・レビュー
吉本隆明の「差別論」(とも言えない「放言」だが)は一言で言えばひどい。というか、こういう部分で、68年の思想と吉本を分かつものの境界が存在している。気になるのは、柳田からの「南島論」とほぼ同じ時期に津村喬と論争を開始しているのが興味深い。結局のところ、「南島島」論に見られるような疎外論的な起源への遡行(ナショナリズムへの無自覚な頰かぶり)を破壊することこそが68年の最大の威力であろう。この頃は、まだ天皇制批判もしていたが、そのモチーフすらもなし崩しになくなる。必然的な成り行きだったとしか言えない。
2023/10/02
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