吉本隆明全集18: 1980-1982 (第18巻)
吉本隆明全集18: 1980-1982 (第18巻) / 感想・レビュー
ソ連の社会主義を「アジア的遺制」として提出したことは視界を明瞭にさせる。それによって、ソ連のスターリニズムも、中国の毛沢東主義も、日本の天皇制も、並列的に語れる磁場を獲得することになるからだ。ただ、ここで問題なのは、その遺制でしかないものを、ポジティブなものとして捉えられる危険性もまた存在するからだ。吉本の論理の危うさはまさにここで、60年代前後のナショナリズムも陥った罠であると言える。これを拒絶するのは厳しい。抑圧したとしても亡霊的に回帰するからだと言える。
2023/10/14
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