山月記 朗読CD付 (海王社文庫)
山月記 朗読CD付 (海王社文庫) / 感想・レビュー
バズリクソンズ
独特な漢文体の文章が日本語の美しさを引き立てる。当初は山月記のみが目当てだったが、李陵、名人伝、弟子の三作品も中島敦の才能が遺憾無く発揮されている。語注を読まなければ分からない言葉に溢れているが、学びを得る上でとても貴重な読書になった。山月記は僅か13ページの物語であるにも関わらず、長編小説を読み終えた感に匹敵するほど内容が心に突き刺さる。李陵は義理人情をとても良い形で描写されてて、名人伝はなるほどと納得できる完結、弟子は個人的にこの4編のなかで一番のお気に入りで孔子の弟子、子路の性格が暴露される傑作。
2022/12/29
辺辺
取り急ぎ、表題のみ読了。短いでありながらもその実は結構奥深い。虎になった原因は本人曰く「臆病な自尊人と尊大な羞恥心のせい」だそうで、まあ、もっと簡単に言ってしまえば無駄にプライド高いのがいけないようにも読みとれる。その他の三篇は漢語が難しくていずれ挑戦してみようと思います。それにしても、表紙の笠井さんの絵が眼福で、小野Dの朗読も耳福だな♡勉強になったし、お得な一冊であった。よし、予習したので、これで柳広司のオマージュにいける。
2022/08/07
紫苑@低浮上
図書館にリクエストして入れてもらう。「山月記」のみ現代文の授業で既読。今ではなかなか見ないような漢語も多く、台詞も漢文調のままだったり、気合いを入れて、解説に加え辞書とも首っ引きで読んだ。全篇それだけの苦労を払って読み通す価値があると思えるのが流石。小野Dの朗読はちょっと淡々とし過ぎかなぁと思った。
2015/01/15
ぺんぎん
中途半端な才能を持ってしまうと無駄なプライドが生まれてしまうものなのだと思った。技量を磨く努力もせず、俗世間にも交わろうとしないなら、一体どこに居場所があるのだろう。そりゃあ虎になるわ。中途半端な才能を持て余した「山月記」の主人公と、ひたすら弓の技術向上を求め、弓を持たずして撃つ境地に辿り着き、しまいには弓の存在を忘れてしまうほどになった「名人伝」の主人公や、屈辱的な刑を受けて生きる希望を失っても表現する喜びを失わなかった「李陵」の司馬遷が対照的だなと思った。「弟子」の子路の一本気な人柄も好感持てた。
2022/11/21
りくう
全体を通して難しいものの、表題の『山月記』は短く読みやすい。『弟子』も孔子と子路のやりとりが微笑ましく、途中まですらすらと読めた。しかし、だからこそ最期の凄惨な場面はそれまでとのギャップで一層切なくなった。
2014/08/16
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