吾輩は猫である 朗読CD付 (海王社文庫)
吾輩は猫である 朗読CD付 (海王社文庫) / 感想・レビュー
夢月
明治時代の日本、英語教師の主人の家に住み着いた一匹の猫による観察記。風刺とユーモアがたっぷりな猫目線の物語だが、文明開化という時代の岐路に立たされた人々のもの悲しさも浮かぶ。苦沙弥先生と家族、家に集まってくるほら吹きな友人の迷亭や理学士の元教え子の寒月など、個性豊かだが癖の強い登場人物が、ぐだぐだと実のないけれど、聞いている分には面白い話を繰り広げる。自分の人生に不満を表している彼らだが、ああいうことを話せる相手がいるのはいいことように思える。いつ読んでも、当時の空気感や肌触りを感じられる名作だった。
2021/12/03
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