潮風の下で (宝島社文庫)
潮風の下で (宝島社文庫) / 感想・レビュー
翔亀
デビュー作(1941)にして、海の三部作の第一作。米国内務省漁業局(のち魚類野生生物局)の生物技官在職中に広報官として書いた本だが、環境保護の歴史を拓いた「沈黙の春」(1962)の思想の萌芽がすでにある。一読えらく奇妙だ。小説でもないのに主人公はアジサシ(カモメの一種)とサバ(鯖)とウナギ。それぞれリンコプス、スコムバー、アンギラという名前が与えられている。そして一人称視点。海の生物の視点で、海鳥や魚が生まれ渡りや回遊をし死ぬ(他の生物に捕食される)までの一生を、生物学の知見により語る"物語"なのだ。↓
2016/05/08
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