名前のない女たち最終章 セックスと自殺のあいだで
名前のない女たち最終章 セックスと自殺のあいだで / 感想・レビュー
たまきら
図書館にて。。若く、何も知らなかった存在が利用され、搾取される。そんな人生の一つ一つを取材する本って、ほかにもあったけれど・・・なんなんでしょうね、この虚しさ。別に女性が取材しても一緒かもしれないけれど。世の中、自分の持っている才能で糊口をしのがねばならぬ時もあるでしょう。職業に貴賎なし。自分そう思っています。けれども、自分の意思を捻じ曲げられ利用される女性たちへの悲しさだけでなく、彼女らの映像を見た男性が周囲の女性をどう扱うか。誤解しないか心配になりました。
2020/01/20
みゃーこ
現代社会を漂流して女の最終手段を売ることを決意して、決して成功のない世界であるAV女優という職業を選んだ女たちは絶望とトラウマの温床になっていたと述べ、丸9年続いたという連載の間で彼女たちの様々な生い立ちやトラウマや絶望を眺めているうちに著者自身が精神を病んでしまって連載は打ち切られている。彼女たちのトラウマを癒す力にもならず社会貢献にもならないライターとしての意義を感じられなくなったとあり。取材に応じた女性の何人かもその後自殺している。そう生きざるを得なかった彼女たちの半生の絶望さ加減に無力感を感じる。
2012/10/05
ジョニーウォーカー
読友推薦本。「ホウ酸ダンゴ、あるだけ食べた」、「ゴミ屋敷に生きる女」、「彼氏とは絶対にセックスしない」…各章の見出しを読むだけでも、その荒んだ日常や、心に巣くう闇の部分が想像できるかと思う。アダルトビデオの世界で、単体女優としてではなく、あくまで十把一からげの存在として扱われる“企画モノ”の女優たち。その生き様と過去に迫る、壮絶ノンフィクション第4弾。すごくヘンな言い方かもしれないが、コレ、自殺防止にもかなり効果的な一冊だと思う。読めばきっと思うはずだもの「あっ自分の人生ってかなりマシな方なんだ」と。
2009/12/28
どんぐり
「オレンジ通信」というビデオ月刊誌に載ったAV女優へのインタビュー記事を書籍にまとめた本。記事自体はエロ雑誌に載っただけあって、対象の捉え方が雑である。男狂い、借金、性的虐待、ギャンブル依存、近親相姦、セックス依存、といったレッテル貼りに終わっている。絶望の淵にあるAV女優の何を捉えようとしているのか、人間をとらえる眼がない。インタビューの垂れ流しである。永沢光雄の「AV女優」を超える本は当分出てきそうもない。
2012/05/12
モモンガ
家庭に恵まれなくて、運命的に転落する人生がある。環境には恵まれているのに、意志的に転落する人生もある。ここに取材を受けた13人の「名前のない」彼女たちは、果たして運命なのか意志なのか。いずれにせよ、彼女たちを押し流している抗いがたい「何か」を取材した筆者の疲労感とまとまらない思考が文面に滲んでいる。業界から足を洗ってから書いたエピロークにはこの本を上梓して「ホッとした」とあるが、最後まで(あくまで取材者としてという意味において)彼女たちをモノにできなかった悔しさでいっぱいなんだろうとみた。
2009/07/29
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