皺 (ShoPro Books)
皺 (ShoPro Books) / 感想・レビュー
ワッピー
スペインのグラフィックノベル。老人ホームに入所した元銀行員のエミリオのアルツハイマーの症状が進行していく様子を描く「皺」、スペイン内戦期、ファシスト軍から逃げる元共和国軍兵士フランシスコと、ただ一人故障した灯台を守るテルモ老人の出会いをモノトーンで描いた「灯台」を収録。「皺」:次第に記憶や機能が失われてアイデンティティがなくなる描写には恐怖!入所者あるあるは笑えない…ミゲルが車を入手し、仲間とともに夜のドライブに出かけるところは「郭公の巣」のクルージングを想起。「灯台」:希望こそ生存にもっとも必要なもの!
2021/05/06
マリリン
老いについて否定的すぎる、家族に迷惑をかけたくない、独身でいれば家族の老いを心配する必要もない、妻はもう夫がわからない、記憶をなくしても性欲は... 介護士たちをだまさないといかんな、特に医者には気をつけないと...ハッとする言葉とシーンに、衝撃的が脳裏をよぎり、老いとは?と重い現実を突きつけ問いかけてくる「皺」 人を催眠状態に誘い込むような光を放つもの...逃げる兵士が出会った老灯台守の、夢なくしては漂流してもどこにも行く事ができないという言葉が沁みる「灯台」の2作収録のスペインBD。
2023/04/09
ののまる
再読。最後に残るのは、仕事や業績や名誉ではなくて(社会的にはずっとそれは後世にまで何かの形で残っていくだろうけれど)、記憶や身体能力や、人としての尊厳がどんどん失われていく老いの課程において、最後に残るのは、やっぱりその人への愛情。
2015/02/24
内島菫
普通に面白かった。すべての要素が細かく計算された上で配置され、きちんきちんとコマが進んでゆく。絵も構図も空白や白紙の使い方も効果を考慮して作られていて、作者の誠実さが伺われるが、やはり外国の漫画に感じる特有の情緒のなさがある。『レヴォリュ美術館』のような理知的な作品はそれでも面白かったし、『鶏のプラム煮』にはアジア的な空気を感じたので、情緒のなさが日本の漫画の差として楽しめたが、本書はよくできているだけに物足りなさがある。逆に、私が感じているこの「情緒」が何なのか、どこからくるのかに興味を覚えた。
2015/05/23
まなあん
老いを真正面から非常にリアルに描いてある。哀愁というより痛切。認知症やアルツハイマーが進むと最後には真っ白になっちゃうのかな・・
2013/10/18
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