凍てつく世界 I (SB文庫)
凍てつく世界 I (SB文庫) / 感想・レビュー
のっち♬
『百年三部作』二作目。舞台は第二次世界大戦前夜。ナチス台頭を背景にまずは『巨人たちの落日』からの世代交代。視点は英米独に的を絞り、進行が停滞しないよう説明は小出しに抑えられている。序盤はやはり恋愛絡みだがトーンの控えめな前振りで、親世代との因果も大河の醍醐味。あくまで英国を土台にするスタンスは譲らない。「意見の隔たりが反ファシストの勢力の力を致命的に削ぐ」という普遍的命題がドイツを引き合いに提起される。個人主義・日和見主義へ傾くほど民衆は屈服してしまう。市民vs警察は物語の起爆源にして著者の反骨の現れだ。
2023/02/20
KAZOO
「巨人たちの落日」を読んでからだいぶ経ってしまっていたので、この作品は別物として読んでいきます。ただやはり登場人物が多くしかも外国人の名前なので大変です。しかも舞台が全世界をかけめぐるという感じで一気に4冊読まないとダメな気がします。それか全冊が訳されてからにしますかねえ。ジェフリー・アーチャーのクリフトン・クロニクルもそうしようと思っています。
2015/02/13
yutaro13
『巨人たちの落日』に続く百年三部作の二作目。前作の主人公たちの子供世代がメインキャスト。舞台は前作から10年後、1933年のドイツから始まる。前半のハイライトは全権委任法の制定を巡る一連の政治劇。まるでパルパティーン。ドイツにおける民主主義の死が臨場感をもって語られたあと、舞台は1935年のアメリカ、そして1936年のイギリスへ。相変わらず登場人物の絡ませ方がうまく、物語に一気に引き込まれてしまう。スペイン内戦に舞台が移りそうなところで1巻完。次巻あたりでまた戦争が勃発するのでしょう。歴史は繰り返す。
2020/03/12
キムチ
返却に行き、これを見つけ迷わず借りたが、からきし読めず、そのまま4巻継続。凍てつくとは世界史上人間の業が浮き彫りにされたかの時間・・20世紀初頭の悪夢の世界。筆者によると世界大戦と人間のドラマ・・それを100年三部作で綴るとある。骨太い、あっという間に激流に飲み込まれ息苦しさまで感ずるほどにのめり込んで読んだ。ベルリンから始まる5つの家族。Ⅰでは、カーラ・ロイド・ヴォロージャ・ヴェルナーが見るベルリンから始まり、ケンブリッジと移り、デイジーも登場。大河ドラマが大好きとはいえ、海外のそれはスケールが桁違い。
2015/04/10
りー
「巨人たちの落日」次世代の物語が始まった。親世代も登場してくれているので、筋を追いやすい。ドイツではユダヤ人の排斥が始まり、ファシズムの恐怖にヨーロッパが震え上がる。アメリカでは禁酒法を逆手にとって成り上がったロシア貧民出身のギャングが芸能界のドンになり、娘を英国貴族と結婚させることに成功。英国では、社会民主、共産そしてファシズムが権力の座を巡ってしのぎを削る。アメリカでも英国もファシズムがこんなに力を持とうとしていた時期があったのか、と、背筋が凍った。ベルリンに残ることを選んだワルター一家が気になる。
2022/01/10
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