凍てつく世界 IV (SB文庫)
凍てつく世界 IV (SB文庫) / 感想・レビュー
KAZOO
「凍てつく世界」の最終巻です。第二次世界大戦をまたいで4か国のファミリーたちの生涯をつづった群像劇が一段落ということです。読んでいてジェフリー・アーチャーの「カインとアベル」を思い出しました。まあこちらのほうが世界をまたにかけていてグローバルですが。この後編もすでに出版されているえようなので早く日本語訳を出してほしいと思います。東西冷戦やベトナム戦争などがでてきて、子供たちが活躍するのでしょう。
2015/03/09
キムチ
凍った世界の漂流は大円団。が世界は新たなる緊張の時代へ、我々が生きている今の時代へ。1933年から1949年という時間、ロイド・カーラ・ボーイ・ディジーらはそれぞれに愛をはぐくみ、子を為しそれぞれの国の政治・軍事・経済に深く関わり地位を得る。大きくうねった彼彼女らの運命を左右した大戦はヒトラーの死を持って終焉したが共産主義の台頭を迎え鉄のカーテン時代が待つ。支配者側でなく民の視点で描かれた事もあろうが人間の逞しさが胸を打つ。特にカーラ。性的凌辱の挙句、孕み、その命を産み落とし、愛す。人類愛の究極と感じた。
2015/04/21
yutaro13
第二部最終巻。ノルマンディー上陸、ベルリン陥落、原爆投下、終戦、そして冷戦へ。本作の魅力的なキャラのひとりレディ・モード視点でここまでの復習。イギリス貴族として何不自由ない暮らし→ドイツ人ワルターと恋に落ち極秘結婚→第一世界大戦で離れ離れ→戦後、祖国と実家を捨てドイツで幸せな家庭を築く→と思いきやナチスが台頭して第二次世界大戦勃発→社会民主党の夫はゲシュタポに撲殺され、息子エリックはナチ信者となり、娘カーラはベルリン陥落時に赤軍にレイプされ妊娠。本作ラスト、カーラの前向きな姿勢が胸を打つ。そして第三部へ。
2020/03/23
りー
多くの死を糧とし、二次大戦が終結。ドイツは蹂躙され、赤軍、イギリス、フランス、アメリカがベルリンを分割統治。太平洋戦争は終結したものの、アメリカの核開発で世界は新たな局面を迎えて「冷戦」が始まる。アメリカは圧倒的な物量支援でドイツが共産圏へ組み込まれるのを阻止しようと「マーシャルプラン」を展開。世界は急速に東西へと分かれていく。ベルリンで過酷な独裁政権下、占領下を生き延びたレディ・モードとその家族にも一時の平和がやっと来た。第三部はキューバ危機~ベルリンの壁崩壊までだそうで、楽しみ。
2022/01/23
ちゃま坊
第二次世界大戦の悲劇が続く。ノルマンディー上陸作戦、ベルリン陥落、原爆投下。この戦争では多くの民間人も虐殺、レイプ、略奪の犠牲者となった。ベルリン陥落でドイツ人女性がどんなひどい目にあったのか。戦争は視点を変えるとだいぶ違った景色に見える。すでに米ソの核兵器開発競争が水面下で始まっていた。西側連合国にすればファシズムを倒した後は共産主義との戦いだ。それには西ベルリンの繁栄こそが共産主義への盾となる。同じ時代のヨーロッパを描いた逢坂剛のイベリアシリーズを思い出している。全巻★★★
2018/07/26
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