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「現代優生学」の脅威 (インターナショナル新書)

「現代優生学」の脅威 (インターナショナル新書)

「現代優生学」の脅威 (インターナショナル新書)

作家
池田清彦
出版社
集英社インターナショナル
発売日
2021-04-07
ISBN
9784797680690
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「現代優生学」の脅威 (インターナショナル新書) / 感想・レビュー

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マイケル

相模原障害者殺傷事件の背景にある優生思想を中心に興味深いテーマを生物学者がまとめた良書。先行した米国優生運動、ナチスのT4作戦やレーベンスボルン、渋沢栄一のらい予防協会設立と日本のハンセン病隔離断種、優生保護法推進の社会党とマーガレット・サンガーや日本安楽死協会設立の太田典礼との接点、昨年のALS女性嘱託殺人と著者反対の安楽死・尊厳死、死の自己決定権批判、クリスパー/キャス9-ゲノム編集の問題点など紹介。最後の章ではアフターコロナ時代の優生学として20世紀初めにあった「チフスのメアリー」を教訓として紹介。

2021/04/15

Tomomi Yazaki

かつてナチスが行った蛮行の理由、優生学。日本でも最近まで、ハンセン病患者へ行っていた断種と堕胎。安倍総理の謝罪で解決したかのようにも思えるが、普通の家庭の陰にもその思想は生きながらえている。出生前診断と名を変えたナチスの思想による堕胎。幸せな家庭を継続するための犠牲。相模原事件で障害者を大量虐殺した植松被告の説く正当性と構図が同じであることに、恐怖を感じる。生まないと決めた苦悩も、命を絶たれた子供達への慰めにはならない。日本での一番の死因は癌ではなく堕胎。この事実に、深い哀しみを覚えずにはいられない。

2021/07/17

活字スキー

人間という存在を評価しようとすれば必ずそこについて回る闇、人類史において何度もおぞましい悲劇を生んできた「優生学」を改めて概観する。素人なりに考えてみるに、これは「優生学」という特定の主義が脈々と受け継がれてきたという話ではなく、「反知性主義」などと同様に人間の思考パターンから生じやすい形、物事を単純化しすぎる悪癖なのだと思う。そしてそれは、単にモノを知らないバカと同じかそれ以上に、ある程度利口で既にそれなりの成果を出してたり、いわゆる上昇志向の人間ほど「分かった」気になって陥りやすい形なのではないか。

2021/08/01

テツ

ナチスによる優生学が何処に至ったのかは誰もが知っているだろうに、現代社会でもたくさんの人々が無自覚にそうしたものの考え方をしていることの恐ろしさ(自戒もこめて) その個人がもつアイデンティティをつぶさに観察し社会にとって有益か無益かというジャッジはいつか必ず「群れに奉仕できない存在を維持するために社会がコストを負担するのはどうなのか」という問いに至り、いつか何処かで見た野蛮で残虐な行為が始まる。多様性を第一にする社会が本当に正しいのかぼくにはわからないけれど、過去の悲劇を繰り返さないためには必要だ。

2021/07/26

ポン

河合香織のノンフィクション「選べなかった命」を読み「命の選別」について、どう考えてよいのか頭から離れず、こちらを読んだ。アメリカの優生運動、ナチスの優生政策、そして日本の優生法の歴史。また、ハンセン病患者の隔離政策、やまゆり園の殺傷事件。そして、尊厳死法の国内外の違いにもふれていた。結局どう考えてよいのか、まだ悶々としたまま。

2022/03/23

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