言葉の周圏分布考 (インターナショナル新書)
言葉の周圏分布考 (インターナショナル新書) / 感想・レビュー
へくとぱすかる
出てくる方言のなつかしさに思わず涙。子どものころ、祖父母あたりが口にしていて、今は記憶のかなたに沈んでいる言葉が、周圏分布の地図とともによみがえってくる。京都と滋賀は隣なんですよね。あの松本プロデューサーが、柳田国男以上に周圏分布を徹底的に研究をすすめた成果。中ほどのテーマが「もどる」という一語に対する追及で、はたして紫式部の時代の京に「もどる」という言葉はあったのか? これは京都の住民ならば、気がつかないといけなかった事柄。小竹探偵の解明を読んではじめて気がついた見落とし。そうそう、それがあるんでした。
2022/05/05
Tui
日本各地の方言は、むかし京の都で使われていた言葉が残ったもの。なので、京の都を中心とした同心円状に共通の言葉がみられる。まるで木の年輪のように。言葉の古さとその言葉を話す地域の京からの距離をもとに、言葉が広がってゆく速度を想定することもできるという。なんとも美しい説だ。同心円分布図はとてもエレガントで、鮮やかなカラー図を見るだけでもこの本の価値はある。だけど文章については、おじさま文体と世界観に馴染めず流し読み。とくに終章は、若い女性に蘊蓄を垂れ感心されているの図がブラタモリすぎて、読んでいて辛かった。
2022/06/28
西澤 隆
昔の京言葉が周辺へと伝播していく一方で中心地の京言葉はすこしずつ変化していく。だから遠くには古い言葉が、しかもずいぶんと離れた西と東で保存されている。探偵!ナイトスクープでの論をさらに進めた本書は読み物としてとても面白い。一方で大量に挟み込まれた同心円の地図を見ると、案外と同心円にはまっていない論と今ひとつ折り合いの悪いものも少なくなく、地図を読み飛ばして論だけ読むか、丹念に比較するかで印象は変わってくる。労作であることは間違いない。一方で清水義範「序文」や鯨統一郎「邪馬台国はどこですか」のような手触りも
2022/09/27
yama1000
方言の探求をここまでするとは!方言への愛を感じられる素晴らしい書です。
2022/07/14
Yappy!
この人また本出した! 『全国マン・チン分布考』に続き、趣味と仕事で集めた情報はまだまだいっぱいある模様。さらにもう一冊出す予定らしいし。 方言、ことばの分布はとても労力がかかるので、みんなが興味持っていろいろやったら、考察は別としてデータは幅広くなるだろうし、興味持つ範囲が異なればいろんな言葉が保存されて良いのではと。 テレビ業界の人なので、テレビなどで放送されて全国展開した言葉の話もあって、純粋で研究でスタートする人とは別の方面から影響を見られるのも面白い所。
2022/05/22
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