インスマスの血脈 (The Cthulhu Mythos Files)
インスマスの血脈 (The Cthulhu Mythos Files) / 感想・レビュー
Bugsy Malone
覗いてみたい、その深きところを。夢枕獏さん×寺田克也さんの巻頭絵巻「海底神宮」には、その独特な節回し、字面、絵、共にそう思ってしまう程の不安定で不気味な迫力があり、この一編だけでもう連れていかれてしまう。続く樋口明雄さんの「海からの視線」は新しい要素を加えながらも原作の雰囲気を充分残した和製「インスマス」、そして最後は富士の樹海を舞台に、おぞましい描写で死体愛好者たちが深きものどもに関わる黒史郎さんの「変貌願望」。インスマスにどっぷり浸かり、それぞれの深淵を堪能出来た一冊でした。
2016/10/11
sin
既刊のどの刊より良かった。収録作品全体を通して共通の陰鬱さも本来のクトゥルフの持ち味を程良く醸し出せているし、巻頭の獏×克也は最高!樋口氏の作品は枚数不足で失速状態だけど軟着陸に成功。9646は、才を見せつけた感がある『未完少女ラヴ』の安定感は一過性の物ではなかった。編集担当の解説もあらすじ解説からようやく解説に近づきつつある。何よりもここまで刊行し続けてきたことに敬意を表したい。
2013/12/27
miroku
黒史郎の世界観は凄い。「インスマスの影」のオマージュでありながら、全く別個の作品を作り上げている。
2014/06/14
Nekono
深きものどもを巡る三つの物語。海がテーマに含まれてしまうため「回帰」を孕んだ物語になってしまう。夢枕さんの物語はファム・ファタールとしての美しくもおぞましき海、寺田さんの絵がより美し悍まし感をかきたてる。田中さんの物語は永劫の故郷としてのおぞましくも美しき海。このお二人は男性視点なのでどこか「母なる海」を思わせる。黒さんの物語は女性視点、ここに母なる海への憧れはない。むしろ、綺麗は汚い、汚いは綺麗という魔女的倒錯と素敵なブチュブチュジュルグリュ(失礼)母への嫌悪がみえる。どれも美味しかった。ご馳走様。
2014/09/08
豆あひる
変貌願望すごかった。挿絵にやられる。最後の挿絵は心臓に悪い(笑)インスマスとか全然予備知識なかったので新しい世界の扉を開いた感じでした。
2017/09/26
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