ヘッセ 人生の言葉 エッセンシャル版 (ディスカヴァークラシック文庫シリーズ)
ヘッセ 人生の言葉 エッセンシャル版 (ディスカヴァークラシック文庫シリーズ) / 感想・レビュー
しいたけ
エッセンシャル版だが引用文が結構長い。おかげでヘッセの愛情豊かな語り口とそのリズムを味わうことができる。何より前向き。まっすぐなパワーがある。はみ出す自分も、斧で斬りつけてくる世間も、全部受け止めそれでも「この世界にまだ恋している」と言いきる魂の太さ。本を読むときに必要なものが3つあるという。「書物の内容に対しての敬意」「理解するための根気」「最後まで著者の言い分に耳を傾ける謙虚さ」こうして読んだものを書棚に並べたとき「それがその人の全世界の中心になる」。ヘッセの書棚は、きっと優しい。
2017/01/07
陽子
行きずりで手にとったが、とても染み入る言葉の数々。ヘッセはたくさんの才能に恵まれた人間だった。けれども、この言葉を読み行くと、芸術や自然を愛し、苦悩もたくさん経験しながら多角的視野で人間(自己)と世の中を厳しく透徹に見つめ追求した人なのだな、と感じた。「昨日よりもよい自分をめざせ」「世の中がどう動こうが、いつも自分自身であれ」「人の一生とは自分自身への道だ」「美しくものを見ておけ」「多く読むより深く読め」印象に残った言葉たくさん。どのページからでも開く事ができる珠玉の言葉集だった。
2020/01/30
ロビン
kindleunlimited。10年位前にハードカバー版を読んで以来の再読。権威主義的な教育がなされていた時代に「小市民的」な価値観を拒否し自分自身を信じて作家・詩人として独り立ちし、大戦中には平和主義を唱えて「売国奴」とされた困難な時期を耐え抜いた強靭な反骨精神をもつヘッセの言葉は、幸福の本質を捉えている。本当に人生を生きるには、たとえ茨の道であっても自分の道を勇気をもって歩み、愛されるより愛する心を持つこと。『城砦』でサン・テグジュペリも言うように「自分自身」と「交換」するほど何かを愛することだー。
2021/04/08
ロビン
2年ぶりの再読。詩を時々書くようになったのだが、自分の中から湧き上がるもの、感動したことを言葉に落とし込む作業をする時に、お題が先にあると他人からの評価を意識してしまっていつも通りに書けないということがあり、悩んでいた折に、読友さんがヘッセを読んでおられたので本書を読み返した。自分の成し遂げたことを「他人から認めてもらいたい」という気持ちを捨てること、また世間の因習に染まらず、小市民根性を排して「自分自身の尺度で人生を測る」こと、孤独でも「ひとりで、自分の道を歩く」ことの大切さを改めて叩き込んでもらえた。
2023/05/08
さっちゃん
ページを捲る手が何回止まったか、同じ行を、同じ段落を、文章を何度読み返したか。時間のかかる読書だった。自分は自分に正直に生きているのか、欺いてはいないか、自分だけの道を歩んでいるのか、確かめるためにこれから何度も読むことになるだろう。
2017/01/03
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