万引き家族【映画小説化作品】
万引き家族【映画小説化作品】 / 感想・レビュー
文庫フリーク@灯れ松明の火
【どうしてどうして僕たちは 出逢ってしまったのだろう 壊れるほど抱きしめた】万引き・窃盗・年金不正受給。決して許されない犯罪行為で貧しい生活を成り立たせる疑似家族。信代の独白「私達がいったい誰を捨てたというのだ。息子夫婦に捨てられた初枝と同居し、居場所を失った亜季を居候させ、放っておいたら死んでいたかもしれない翔太とりんを保護した。それがもし罪に問われるならば、彼らを捨てた人々はもっと重い罪に問われるべきじゃないか」【引き返してみるわ ひとつ前のカーブまで いつか海におりた あの波打ち際に笑顔の→続】
2018/08/07
ウッディ
血は繋がっていても心が離れた家族と、他人であっても心で繋がっている家族は、どちらが暖かいのだろう‥そんな事を考えながらの読書でした。本当の家族を捨てて集まり、都会のビルの合間の一軒家に暮らす6人。「店の物はまだ誰のものでもないから、盗んで良いんだ」と万引きを教える父がいても、そこには、家族としての温もりが確かにあった。法律では許されなくても、彼らは酷い人間から祥太やリンを救い、居場所を与えたのだと思う。ラストの治の「父ちゃん、おじさんに戻るよ」でホロリときた。映画も観てみます。
2019/08/31
ケンイチミズバ
るりちゃんを迎えに来たのは天国のおばあちゃんだったのだろうか、だとするとあまりに悲しい。興味本位の目で見れば極悪人のようにも見えただろう。事件報道やワイドショーでも世の中の反応とは大体そんなもんだ。社会の救いが及ばない彼らがなんとか生きて行ける場所だった。楽しい微笑ましい幸せな時によぎった思い、いつまでもは続かない、いつか終わりが来る不安を私も同じように感じた。利己的な正義感や道徳では割り切れない。誰もわかってはくれない。刑事の言葉に抗うのをやめてしまった信代の気持ちに胸がつまる。翔太の心の葛藤も痛い。
2018/06/07
いつでも母さん
映画は観ていない。読み始めて、ここの誰もがイヤだった。(凛に罪はない)けれど、どんどんこの家族に感情移入してしまい「じゃあ、どうすればよかったのよー!」世の中とか、どこかの誰かに向かって気持ちは叫んでいた。勿論万引きで暮らし続けることなどダメだし無理だし、こんな家族は有りえないでしょう。でも、間違いなく家族だったよね。じゃあ家族って何?親子って何?考えさせられる問題作だ。ラストのじゅりの姿が痛々しいが、映画のラストはどうなってるのだろうって、気になって仕方がない。
2018/06/22
utinopoti27
パルムドール受賞作品のノベライズ。ここに描かれる『家族』は、血縁関係を前提とした共同体ではない。むしろ怪しげな動機で結ばれた、現代社会の異分子集団とでも形容すべきかもしれません。でも深い絆が、強さが、そして愛がある。ネグレクト、幼児虐待、DV等々、家族にまつわる社会問題を頻繁に耳にする昨今、この愛すべき疑似家族は、昭和のノルスタジーを匂わせつつ、やがて崩壊という予定調和を迎えます。平成の終わりを迎えるにあたり、日本がこの30年で築いてきた、あるいは失った『家族の形』を象徴するかのような終わり方が印象的
2018/09/01
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