アウトロー女優の挽歌~スケバン映画とその時代 (映画秘宝COLLECTION)
アウトロー女優の挽歌~スケバン映画とその時代 (映画秘宝COLLECTION) / 感想・レビュー
田中峰和
半世紀以上前に映画界を席巻したスケバン映画。女番長と書いてスケバンと呼ばせた。ヌードと暴力、主人公はタイマンを張り、リンチを受けるが勝利する。そのヒロインとしてしのぎを削ったのは陽の池玲子と陰の杉本美樹。華やかな池に対し杉本はその後塵を拝した。時代劇から地位を奪ったヤクザ映画はやがてスケバン映画と併映されるが、商売の上手い東映はブルース・リーの人気にあやかり、池を香港に進出させる。杉本は引退と復帰を繰り返し24歳で結婚。池は麻薬などの事件と復帰を繰り返す。やがて志穂美悦子の登場で時代は変わっていく。
2021/09/01
hitotak
専ら脱ぐことを期待され、沢山の映画に出演していた二人の女優(当時の雑誌等ではポルノ女優と呼ばれていた)を中心に、女性が主役のアクション映画の誕生から終焉までが、300ページ超・2段組で非常に詳細に書かれている。会社はとにかく脱げる女優が必要で、裸を拒絶すれば干されてネガティブな記事を出され、脱がない映画の出演を希望しても通らない。会社にとっては裸が売りの女優など捨て駒に過ぎなかったのだろうか。一時は隆盛を誇ったジャンルだが、時代の流れで今では絶滅状態。二人の女優も引退し、消息は絶えているという。
2019/02/14
桑畑みの吉
1970~1975年辺りに量産されたスケバン映画の盛衰をメインに語った本である。映画だけでなく当時の社会風俗にもページが割かれている。中でも東映ポルノの看板女優であった池玲子と杉本美樹関連の話がやはり興味深かった。1970年代に経営が苦しかった映画会社の商魂逞しさは今の映画界に欠けているものであろう。反面ポルノ女優に対する東映の狡猾さは現代のAV出演強制問題と同じ匂いがする。なお本書では女優やポスターの写真が1枚も掲載されておらず読んでいてイメージを掴みにくいのが欠点だと思う。
2019/07/18
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