マチネ・ポエティク詩集
マチネ・ポエティク詩集 / 感想・レビュー
松本直哉
文末に向けて消え入るような日本語の抑揚には西洋風の脚韻はなじまず、著者たちが主張するほどには音楽的には感じられない。古典和歌で愛用された駄洒落すれすれの掛詞の方が音楽的かも。掛詞に象徴される遊びあるいはユーモアにも欠けていて、当時二十歳前後だった詩人らの調べはひたすら生真面目。窒息的なまでの言論統制の戦時中において、生真面目であるほかなかったのかも。そんな中で印象に残ったのは原條あき子のみずみずしい抒情。福永武彦との子夏樹の名前の詠み込まれた詩もある。「風は杳か流れ明日の生命/夏樹よ享けよ 天と地の幸を」
2019/06/20
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