奇々耳草紙 呪詛 (竹書房文庫)
奇々耳草紙 呪詛 (竹書房文庫) / 感想・レビュー
夢追人009
けったいな訳のわからない話を書かせたら日本一と思う実話怪談の天才・我妻俊樹さんの本を読むと期待が膨らんでワクワクしますよね。全部で64話も詰まって何て贅沢な!と思いますし、もうベストを選ぶのは無理な話で人それぞれの好みの問題ですが、とにかく思いっ切り奇妙奇天烈な話を見繕って紹介しますね。『銀色おばさん』由美子さんの住む町に全身銀色で服だけでなく肌、歯、舌、目玉も白目も黒目もない銀色おばさんが出没していた。彼女は深夜限定で現れ、中学校の校庭で目撃されて丸でレコード針の様にぐるぐる自転してやがて消えるという。
2020/12/31
HANA
実話怪談集。日常の中にポンと浮かび上がる不可解な出来事を綴ったような話ばかり。決して怖いというのではないけれども、読んでいると異界を覗き込むようなそんな気分に襲われる。淡々とした独特な文体が、それにさらに輪を掛ける。というかこの文体無しだとこの話達成立しないんじゃなかろうか。後半になるほど内容はますます奇妙になり「山間の町」や「歯医者へ」でそれは頂点に達している気がする。「山羊に見られて」とかは、百鬼園先生の『東京日記』連想させられる出来だし。わけがわからないけど引き込まれずにはいられない一冊だった。
2015/09/03
澤水月
全編うっとり! 現世に百閒蘇り新作発表し続けている如し、冥途も東京日記も含みつつ現代的風味やおかしみも。G怪談は世に多いが本当に未経験次元に連れてかれる「シンク下」!(感動のあまり何人かに送った。生理的嫌悪感でなく平井堅PVのように悪夢的だが蠱惑する系!)「犬だから」もいいし「山間の町」はエダジマさんて題の方がいいかな?て気がするけど。銘菓のつぶやき、山羊に見られて、釜飯、漫画を捨てる…題と共に忘れないだろう。今巻特にトーン揃ってて押さえるべき一冊だが試し読みを勧める、好悪はハッキリするのが良書の証かと
2015/09/02
ラルル
例えるなら普通の怪談が「テーブルの上の十円玉が勝手に動いた」とか「手が出て来て10円玉を掴んで消えた」とかなのに対し、この方の怪談は「テーブルの10円玉が突然消えたかと思ったら財布の中から出てきた」みたいなちょっと訳がわからない、意味判らないような変な話の数々。凄く良いです。ゴキの話と「犬だから」が特に気に入りました。
2015/09/29
辛口カレーうどん
このシリーズ面白い。心霊体験とかそういうものではなく、いつか見た夢のような話の歯切れの悪さ、辻褄の合わなさがリアル。昔は家の電話を使っていると、たまに混線して知らない人の会話が、遠くに聴こえる事があった。何を話しているかと好奇心に駈られる一方で、不気味さも感じる…あの感じがこの作品集にはある。 『おまわりさんだよ』『タスケテ』『歯医者へ』が怖い。
2018/10/10
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