獄・百物語 (竹書房文庫)
獄・百物語 (竹書房文庫) / 感想・レビュー
夢追人009
怪談実話の名手10人による百物語とあってヴァラエティー豊かで充実した高レベルな一冊でしたね。幽霊をなめちゃ駄目!『狂喫煙』伊計翼:霊は煙草の煙は嫌うんですが、最近は禁煙ブームだからアイツらも元気で怪談も世の中に溢れていてサイコーですね!ほら、あそこにもいますよ、と煙草で道路を指差したTさんは次の瞬間、車に跳ね飛ばされる。『運命』吉澤有貴:圭子さんは17人の占い師や祈祷師から「この子は二十歳の時に母を殺して自分も死ぬ」と言われ成人まで伯母夫妻に育てられた。最近漸く真実を教えられた彼女はどうして今頃?と聞く。
2020/11/15
HANA
実話怪談アンソロジー。実話怪談はもう類型化というかネタはある程度出尽くしている感はあるのだが、この本もその例に漏れず。ただその中でどういう風に自分のスタイルを出していくかという点で、こういうアンソロジーは面白い。基本に忠実なスタイルから、文体や雰囲気だけでこの作者だとわかるようなパターンまで様々。全編一二頁の短い話ばかりだが、逆にこの方が各人の持ち味がよくわかるような気もする。ちなみに私は誰が書いたかお三方だけは大体わかりましたが、その他はほぼわからず。何とも実話怪談のスタイルを当てるというのは難しい。
2015/10/07
澤水月
文筆が主でない方の1作に震え上がっている。本業でないだけに聞書に嘘がない(自作にも影響したという)と思うと歯の根が合わない…ソレ、阪神時にも現れてますよ! あの「凶事を伝える」で有名な日本古来の…実は実話怪談の有名作に昔から息長く出ていた大ネタで今年漫画化もされている。四年経ちまた書き留められるとは興味深い…。平山御大、黒木、明神、我妻さんはかなり判り一部伊計さんは恐らく特徴消そうとしつつ、分かった。皆もうスタイルあるなあ。ワンルームの異界…涙出る。兎。債務者。どれも今を切り取る重要稗史
2015/10/10
pulpo8
100話収録の実話怪談集。誰がどれを書いたのか分かったのは、平山夢明と黒木あるじが一つずつ。こうして並べると語り口にほとんど差がないなあ。肝心の内容は中の下くらいが多くてあまり楽しめなかった。印象深かったのは「ワラビヤ」窓ガラスばーん!はやっぱり苦手だな。「兎」兎の眼を潰したら。「くしゃみ」熟柿のように潰れて死んだ。「木箱」底を上にしてはならない木箱。「蛇」これは強烈だしワケが分からなくて良い。「宿題」ママだめ!そんな子うちのクラスにいない!ゾーッ。「嫌な音」これは嫌だ。「お神酒」「数珠」帰ってくる数珠。
2015/11/06
hannahhannah
百物語シリーズ第三弾。不気味な挿絵が数点掲載されている。平山夢明、黒木あるじ、伊計翼、神薫、明神ちさとが良かった。吉澤有貴は馴染みのない作家だったけど、彼女の話は想像以上にエグい話が多くて良かった。「甘党の老婆」とか読んでて気持ち悪くなったし、「風船病棟」は生霊も怖いが人間も恐ろしい。我妻俊樹、葛西俊和、小田イ輔、山下昇平はあまり印象に残っていない。黒木あるじで始まって、黒木あるじで終わるという構成。黒史郎とつくね乱蔵が不参加なのは残念だけど、それを差し引いても面白い話ばかりでシリーズで一番楽しめました。
2017/08/20
感想・レビューをもっと見る