立川談志 まくらコレクション 夜明けを待つべし (竹書房文庫)
立川談志 まくらコレクション 夜明けを待つべし (竹書房文庫) / 感想・レビュー
さらば火野正平・寺
立川談志が落語を始める前に喋った雑談的な「まくら」の部分だけをまとめた文庫本。以前出た『談志が語った"ニッポンの業"』の第二弾である。前巻が昭和のものもあったのに対し、本巻は全て平成のもの。具合が悪くなってからのものもあり、老いの姿も伺える。語りを文字に起こした本なので読み易く、生前の立川談志の口調も思い出されて内容も面白い。出てくる小咄がみな秀逸である。まくらの最中に客席から「古典をやれ」と言われ、その客を帰らせたやり取りも収録。その行為に賛否はあろうが、それが許されてしまった人の憂鬱がここにある。
2015/12/02
姉勤
落語を聴きに来たんじゃない談志を聴きに来たんだ。一方で、落語好きでも談志は(が)嫌い、も多い。古典落語というフォーマルを削った、まくらを蒐めた第2弾(ただし、十分噺にはなっている)。平成11年から17年の世相、世論へのアクションとリアクション。晩年のイエモトの、エスプリと云おうか諧謔と云おうか、暴論と云おうか、託宣とのたまおうか。いずれにしろ、談志の声音が蘇る読者向きなのは変わりなし。だが、コンプライアンス、言葉狩り、はてはペテンに詭弁。ことばの無作法者があふれた今には、まだ価値はある。
2016/07/26
ぐうぐう
「与太郎の奴は、そこに観客が居るわけじゃないんだよ、横に一緒にだれか居るんなら、この行為で、そやつをウケさせてやろうって了見だと、考えられるでしょう。誰もいないんだ。ことによると、この野郎、高度な遊びをやってんじゃねえかと思うんだよ。一人でね」。この落語への疑いは、談志が笑いの神に愛される、ひとつの条件だ。つまりは、この視点こそが、イリュージョンを生むのだろう。「ああ、そうか。志ん朝の客は、『落語』を聴きに来て、おれの客は、『おれ』を聴きに来てるんだなと」。その客の中に、笑いの神もいるはずだ。
2015/11/30
チェアー
自分の主張がどうというより、多数が向いている方は絶対に向いてやらねえぜ、の矜持を感じる。芸術ってそうだものねえ。しかし、お辞儀の仕方は立派な談志。
2016/03/04
0607xxx
面白い。落語に関してほとんど知識はないが、興味がある落語家なので巻末のQRコードの付録から立川談志の落語を聞いていこうと思う。
2015/11/23
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