異界怪談 底無 (竹書房文庫)
異界怪談 底無 (竹書房文庫) / 感想・レビュー
夢追人009
黒史郎さんの不気味な髑髏のイラストが禍々しい一冊ですが、決して悪い意味ではなく、それ程に恐ろしい話ばかりが詰まっている訳ではなく意外に気楽に読める話も多いですので怖い話が苦手な方にもぜひ手に取って欲しいと思いますね。これは不気味な異界系の話。『くび、て、あし』男子校に通っていた亮太郎さんは3年間で仲間内では一人だけ彼女ナシだった。半ばヤケになった彼は学校帰りにラブホテル通りの裏にある柄の良くない飲み屋街を一人で歩く。そんなに甘くはなく諦めて帰る道を辿ると向こうから派手なモデル並みに長身の美女が歩いて来る。
2021/01/03
HANA
実話怪談集。玉石混交が多い実話怪談だが、安心して読める作者は何人かおり著者もその一人。本書も安心の完成度である。収録作も著者の特色がよく出ており、不条理な何が起きたかよくわからぬ作品も多い。しかしそれが理不尽なよくわからない怖さをもって迫ってくる辺りがまさに本領発揮といった具合。「おとうさん」とか「鬼役」等前半部にそれが多い感じかな。一方で深く考えれば考えるほど異様な怖さをもつ怪談のお手本のような「狸の金玉」もあり、全くもって油断できない。実話怪談の鉱脈がまだまだ掘りつくされていない事が実感できました。
2019/10/13
澤水月
「狸の金玉」に尽きる! 題材も構成もいい。妖怪本に振り分けたり「犯罪臭」が強く怪異が行方不明な話がいくつか出たりと制作難航する中でもこのクオリティはさすが… 黒版東京伝説も読みたい気がする
2019/08/19
qoop
端的に文章と構成の妙を味わう一冊。怖いというより不思議な話、超常的かどうか際どい話も多く収録されており、一読あっさり読めてしまうところもある。が、表題どおり不思議の底が抜けている。それに気づくと怖さのステージがせり上がる。巧いネーミングだと感心した。印象的な作品をあげると〈おとうさん〉〈ダストボックス〉〈息子のうそ〉〈怖がりなダンナさん〉など。
2019/08/03
hannahhannah
黒史郎のオカルトホラー。何か今回は怖くもエグくもない話がほとんどだった。あとがきを読むと怪談が足りなくてかなり焦っていたようだ。完全に犯罪臭のする話で名前を伏せたくらいでは、どうにもならないとの判断から見送ったものもあったらしいけど、そういう話をまとめて本にしてもらいたいくらい。紹介文で「バンコクで」という話があったけど、そんな話は収録されていなかった‥。「夜の化粧」で話者の公美が久美になったり、また公美に戻って、再び久美になったりしていた。さすがは竹書房のホラー本だわ。
2019/08/03
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