死んだら飛べる (竹書房文庫 き 6-1)
死んだら飛べる (竹書房文庫 き 6-1) / 感想・レビュー
HANA
大切なのはそれは密室であるという事とそれは落ちるという事。飛行機をテーマにしたアンソロジー。アンソロジーというと玉石混交が多いが、本書は玉が多いイメージ。コナン・ドイルが飛行機をテーマに書いていたなんて。他にもマシスンやブラッドベリ等名だたる作家の作品が勢ぞろい。一際印象に残るのはダールの「彼らは歳を取るまい」、某有名アニメの1シーンを彷彿させる設定と静謐な読み心地で本書の一押し。他にもジョー・ヒル「解放」は乗客の様子を描いているだけだが、起っている出来事と人々の様子に手に汗を握る出来。いや面白かった。
2020/06/09
Panzer Leader
飛行機にまつわるホラー・SF・ミステリー風味のアンソロジー。ずば抜けた傑作はないけれど平均以上の作品ばかりが並ぶ。そんな中で「ミステリーゾーン」で放映された「高度二万フィートの悪夢」は当時を思い出し懐かしく読めた。後直接的な恐怖でなく得体のしれない気味悪さが持ち味の「第5のカテゴリー」が印象に残った。
2020/06/21
sin
なんとも投げ遣りなタイトルに相違して良質な作品を新旧織り混ぜて収録したアンソロジーに仕上がっている。物語もバラエティーに富んでいて、バランスよく一本調子にならない処も飽きがこなくて良い感じだ。作品中何よりも恐怖を覚えたのは、ジョー・ヒル『解放』今現在進行形で近付きつつあるかも知れない予知的悪夢である。
2019/10/09
眠る山猫屋
冒頭のジョーンズタウンからの遺体搬送に始まる静かな恐怖。航空機にまつわる珠玉のホラーアンソロジー。ドイルやブラッドベリは流石の良質、初読の作家さんも多いがつまらない作品はない。タブの『ルシファー!』は今尚色褪せぬSFだし、ヴァーリイの『誘拐作戦』の奇天烈でヴィヴィットな流れも健在。一押しはヒルの『解放』かダール『彼らは歳を取るまい』かな。前者は終末戦争を機上で目撃する乗客たちの物語。胸に迫る臨場感が美しい。後者は戦闘機乗りたちが空の果てに最期に出逢う光景。切ない。紅の豚の名シーンのオリジナルなのかな?
2020/12/10
えみ
「死んだら飛べる」ではなく「飛んだら死ぬ」でしょ、間違いなく。この飛行機に搭乗したら生きて帰れると思うな!と宣告されたような死のフライト17篇収録のアンソロジー。確かにあんなに大きな鉄の塊が空を飛ぶなんて信じられない気持ちはある。安全だといくら言われても一度機上の人となり、上空でトラブルが起こってしまえば私たちは無力。逃げられない。死しかない。そんな可能性もゼロじゃない。交通事故の方が死亡率高いと言われているけれど、やはり宙に浮いている感じが緊張感を与える。そんな心理を巧みに誘導した作品が目白押しの一冊。
2020/10/25
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