堕地獄仏法/公共伏魔殿 (竹書房文庫 つ 3-1)
堕地獄仏法/公共伏魔殿 (竹書房文庫 つ 3-1) / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
世界で二人ぼっちな「いじめないで」。相手が一人しかいないのにその相手が機械だとなるとつけ上がり、虐める人間にゲンナリする。ほんま、なんで人間は「人間」ってだけで他よりも一等、偉い、思うん?「血と肉の愛情」でのトーノは『ミッド・サマー』のサイモンを思い出した。そしてずっと気になっていたけど、図書館では見つからなかった「懲戒の部屋」をやっと、読む事ができましたが…。こんな報復は厭だ…(´;Д;`)題名がよく、分からないものもあったが、「色眼鏡の狂詩曲」は目糞鼻糞を笑うで思わず、笑ってしまった。イカン、イカン!
2020/05/08
たぬ
☆4.5 筒井氏36冊目は1962年~68年に発表された短編16作。愉快なグロテスク(「慶安大変記」他多数)と意思疎通ができない相手へのイライラ(筆頭は「うるさがた」)が可笑しくてたまらない。ラストの「色眼鏡の狂詩曲」は訳註で面白さ倍増。電車内で読んでて失笑しっぱなしでした。マスク生活で本当よかったね。
2021/09/22
tomi
編者の日下三蔵氏によると、初期の作品集「東海道戦争」「ベトナム観光公社」「アルファルファ作戦」のハヤカワ文庫、中公文庫版収録作品より、ハヤカワ文庫「日本SF傑作選1」未収録作を一冊にまとめたもの。16篇のうち一番新しい作品が68年の作で、生まれる前に書かれた作品ばかり。当然古さはあるものの、人間の本質は変わっていない。「時越半四郎」は江戸時代にタイムスリップして侍として育てられた男の話で、男の嫉妬が醜悪。「一万二千粒の錠剤」は新しく開発された長生き薬の服用者に選ばれた青年が、醜い争いに巻き込まれる。⇒
2024/04/16
geshi
初期作品ゆえかスラップスティックは抑えめだがブラックなアイデアで人間の愚かさを嗤って、欝々としそうな心にカンフル剤を叩きこまれた気分。表題作ふたつは特にトンデモない。『堕地獄仏法』は公〇党と創○学会という日本最大級のタブーをディストピアもののフィクションだから書いてしまえる力技。『公共伏魔殿』はN○Kを徹底して露悪的に描きつつ第四の権力であるマスコミへ切っ先鋭く挑んでいる。『しゃっくり』や『やぶれかぶれのオロ氏』みたいに人間の虚飾を剥ぎ取る話がやっぱり好きだなぁ。
2020/04/30
Fondsaule
★★★★☆ 「いじめないで」「しゃっくり」「群猫」「チューリップ・チューリップ」「うるさがた」「やぶれかぶれのオロ氏」「堕地獄仏法」「時越半四郎」「血と肉の愛情」「お玉熱演」「慶安大変記」「公共伏魔殿」「旅」「一万二千粒の錠剤」「懲戒の部屋」「色眼鏡の狂詩曲」16編の初期の短編集。2020年に出版されるのだから、そういう作品を選んだのだと思うが、昨日書かれたと言われてもわからない程、時代を超えた作品。それにしてもこんな事書いても大丈夫なの?と思わせる。日本にいる幸福はまさにこれだと思う。
2020/10/05
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