ベストSF2022 (竹書房文庫 お 6-3)
ベストSF2022 (竹書房文庫 お 6-3) / 感想・レビュー
yamatoshiuruhashi
流石、大森望。なかなか面白いものを集めてくる。とは言え、一人の作家の短編集ではないので好みが分かれるところもある。私一人が読んでも個人的に好みが分かれるように、編者は幅広く新しいSFを読み撰んでいるわけで、SF界への貢献は大きい。大森望は現代SF界の紀貫之だ。私の好みは、滑りまくる漫才コンビの滑る理由を科学的に説明しつつ、その二人に笑い死にする伝染病から世界を救わせる「絶笑世界」(十三不塔)と「百年文通」(伴名 練)。特に後者はジャック・フィニィの「愛の手紙」のオマージュで懐かしさも伴う。
2023/05/05
塩崎ツトム
【酉島伝法】おふとんくんよりも明らかにやばい労働環境を当たり前に受け止めているホモサピの方が怖かったゾ。【十三不塔】身体には気をつけてくださぁい 大変なんすからもう【円城塔】This is an Ex-parrot!【鈴木+山本】二度読んでも面白い。【伴名練】読んでてすんげー照れ臭かった。 それと毎年、末尾の「SF概況」で悶絶する。「あああ他の人はこんなに色んなアイディアの引き出しがあるんだうらやましい」っていう感じで。
2022/09/23
Aminadab
酉島・津原・円城は平常運転で読み応えあり。溝渕・十三・鈴木+山本も佳編だが、今年は巻末の中編、伴名練「百年文通」が圧倒的。題名からわかるようにJ・フィニイの有名短編を出発点にがしがしとドライブをかけていくんだが、この極上リーダビリティはまるで綾辻行人みたいだ。さらにいいのは、今次コロナ禍に対処する人類の(SFなので)不甲斐なさに、作者が内心ものすごく怒っているのがひしひし伝わってくるところ。感染症下の現在は一種の戦時なので発言には慎重を要する。SFというのはまさにこういうときに活用すべきジャンルだと痛感。
2022/09/13
かとめくん
現実の読書世界からどんどん取り残されていく自分の唯一の救いがアンソロジー。巻末のSF概況と合わせ、もう少し頑張ってみようと思わせてくれるのです。「カタル、ハナル、キユ」「電信柱より」「百年文通」が良かった。全く違う形でそれぞれの愛を語っていて。
2024/04/17
緋莢
2021年(月号・奥付に準拠)に発表されたSFの短編から、編者がベストだと思った10編が収録されています。序で書かれていますが、新人多め、しかも単独著書のない作家が約半数とのこと。これは、同じく2021年に出た伴名練 編『新しい世界を生きるための14のSF』、井上彼方 編『SFアンソロジー 新月/朧木果樹園の軌跡』も同じ傾向らしいです(続く
2023/01/18
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