湯島の境内
湯島の境内 / 感想・レビュー
えみ
切れろ、別れろと云うより死んでくれと言って。そう女に言わせる男って一体…。女心の激しさと、男の無慈悲さ。どちらも根本にあるのは欲に夢語りをさせた身勝手さ。そして第三者の影の濃淡の認識相違がこの何とも悲しい消失の恋の一場面となる。「切れるの別れるのッて、そんな事は、芸者の時に言ふものよ」『湯島の境内』の名台詞と言えばコレ。作品を知らなくても聞いたことがあるほど鏡花と言えば私の中ではこの言葉。芸者でもないし、絶対使う場面は訪れないけれど言ってみたい。別れを切り出された女の哀しさを自尊心が守ってる美しい台詞だ。
2024/02/10
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