トカトントン
トカトントン / 感想・レビュー
nbhd
さて、いったい太宰治を読むのは何年ぶりくらいのことになるのでしょう?文芸評論家の加藤典洋さんがこだわった太宰作品。敗戦の虚無と開き直りと虚栄と虚無と開き直りと欺瞞と虚無が、トカトントン、トカトントンと、カナヅチのビートを刻む。これは、クリーピーナッツのブリンバンボン、ブリンバンボンのような流行りのビートどころのものじゃない。トカトントンは、重く、かつ、軽い、そして重い、で「無」だ…文学ってすごいなと思った。
2024/07/06
Chiyo K.
青森の文学青年が有名作家に相談の手紙を書く。終戦の詔勅の後聞こえた復興の槌音「トカトントン」が耳から離れない。仕事に恋に、労働運動にスポーツに熱中没頭しようとすると耳につき、途端に虚無に襲われる。どうしたらよいか。この心情は私にはわかりづらい。ただ日本中が滅私奉公と言われ辛酸をなめた10年間以上の出来事を、終戦とともに責任をあいまいにし、「トカトントン」という軽い音と共に過去においやる軽薄さは想像できる気がする。主人公は流されていただけとも、自ら望んで流されたのだろうとも、それを自覚していたとも思える。
2024/08/12
あらなみ
戦争を体験したPTSDの青年の話。トカトントン。手紙を送った相手の小説家があまりにも無情で的を射て笑った。これを言いたいがためのトカトントン。
2018/09/21
futomi
1945年8月15日のラジオ放送を聞き、復興の音と聞こえた「トカトントン」。その後懸命になった時も虚しくなった時も頭の中に「トカトントン」が聞こえてきて、困っている若い郵便局員のエッセイ。大ファンだった小説家に向けて書かれている。 9ページ「疎開して来たひとで、その土地の者たちの、評判のいいひとなんて、ひとりもいません」というのが怖い。敗戦直後の暮らしが少し見えます。
2020/01/04
マルドリ
興味がないことに興味を持った時「トカトントン」という心の音が聞こえるのだと感じた。 ちなみに主人公はこの音が何なのかよくわからないらしい。 皆さんも、この本を読んで「トカトントン」とは何の音なのか考えてみてください。
2023/02/02
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