十三夜
十三夜 / 感想・レビュー
ヨーイチ
短編です。スマートフォンで76ページ。ストーリーは数行で紹介出来るし、これからの人生に役立つような効能は多分無い。然し小説の価値はそれだけではない。発表は明治28年!一葉が「なんとか家政を救うために売れる小説を」と足掻き続ける頃の作か。絞りに絞った文章は「俳諧」のような趣がある。貧乏も惨めさも諦観も時の流れに溶け込んで行くような大詰め。新派水谷八重子(勿論初代)の姿口跡が重なる。台詞が多いせいもあるし(これがまた良い)、この作が新派悲劇そのものではないかと思い至り納得。調べたら「八重子十種」なのね。
2016/12/16
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