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妄想

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作家
森鴎外
出版社
青空文庫POD
発売日
2016-03-31
ISBN
9784802054157
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妄想 / 感想・レビュー

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たつや

鴎外は「山椒太夫」を読んだときに、最高のストーリーテラーだなと感心しました。他の作品はどんな感動作があるんだろうと、期待していましたが、本作は完全な哲学書?なんでしょうか?訳がわかりませんでした。

2016/05/20

あんり

かくして最早幾何もなくなつてゐる生涯の残余を 、見果てぬ夢の心持で 、死を怖れず 、死にあこがれずに 、主人の翁は送つてゐる 。その翁の過去の記憶が 、稀に長い鎖のやうに 、刹那の間に何十年かの跡を見渡させることがある 。さう云ふ時は翁の炯々たる目が大きく睜られて 、遠い遠い海と空とに注がれてゐる 。これはそんな時ふと書き捨てた反古である 。

2017/01/30

みつか

若い時に読んだ哲学書をあたり、価値ある生とは?死とは? と苦悶する姿を既往する白髪を交えた主人の翁。『自分のしてゐる事は、役者が舞台へ出て或る役を勤めてゐるに過ぎないやうに感ぜられる。その勤めてゐる役の背後うしろに、別に何物かが存在してゐなくてはならないやうに感ぜられる』 日々を目の前の雑務に追われて自分が納得する満足した生を送れなかった後悔を呟き、しかし未だ稀に翁は炯々たる目を大きくみはって、生きたという幸福を勝ち得ようとしているのである。

2017/05/07

sshota0313

名作だった。死を目前に見ている老人の人生についての考察。死を恐れていないけれども心のどこかで死を理解することができない老人の、半生を振り返りながらの死についての考察。鴎外自身の思想を書いているんだと思う。他人からみれば華々しい経歴を持つ鴎外のこの、人間の孤独感、人生に対しての無常観はどこから来るんだろうと思った。鴎外自身は「歴史に残る仕事ができれば」と言っていたけど、単純に才能を持つ彼の事を一人でもちゃんと理解してあげられる人がいれば良かったんじゃないかと思う。

2019/04/10

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