藪の中
藪の中 / 感想・レビュー
ケイ
決してネタバレされることのない話。読んだ人それぞれの結末がある。伏見から山奥に入った藪の中で見つかった男の死体。誰が殺した? 男が連れていた妻をてごめにした多襄丸か。自らを辱めた男に懸想した女か。もしくは行きずりの旅人か。分かるのは理由だけ。美しさがすぎる女がいたのだ。一番恐ろしいのは書き上げた芥川の筆の冴え。
2019/09/23
Tsuyoshi
様々な人物が語る食い違った証言。結局真相は藪の中。一体どの話が真相なのか?考えても分からなかった。
2018/05/23
detu
目撃者、被疑者、被害者(死霊)の7人の食い違う証言。真実は?・・・・人は必ず嘘をつく。
2016/08/17
シュラフ
みんながよく知る物語である。多襄丸が男を殺したと自白する、女は男を殺したと懺悔する、そして男は自ら絶望して自殺したのだと巫女の口を借りて語る。芥川は真相を明かしていないのだから読み手が推察するしかない。読み手の人間洞察力が試されているような作品である。私が思うには、多襄丸の自白が真相ではないかと思う。多襄丸は女が欲しければ力づくで奪い取るような動物的人間であり、極刑を前にしてわざわざ嘘をつくまい。それでは女の懺悔と巫女が語る男の話は嘘なのか。この意味が分からないから悩まされる。いくら考えても分からない。
2017/01/29
ミエル
インタビュー形式の未解決ミステリ、と言ってしまえばそれまでだが、現代まで議論の余地がありまくりの名作。読み手の心理と性格、知能によって何通りの解釈があるのか?個人的にも年齢を経た感想の変化を感じる。初見とは違った視点で読み、新たな疑問を持つ読者が多いはず。自分と向き合う読書には本来こういう楽しみがあるのね。
2018/12/28
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