木の都
木の都 / 感想・レビュー
shikashika555
「女の子は女学校ぐらゐ出て置かぬと嫁に行く時肩身の狭いこともあらうと思つて、娘は女学校へやつたが、しかし男の子は学問がなくても働くことさへ知つてをれば、立派に世間へ通る」 というくだりに驚く。 配給の語が出てくるところから太平洋戦争中の話と伺えるが、大阪都市部ではそのような価値観であったのか。 農村部では女子に高等教育など嫁の貰い手が無くなると言われていたであろうに。 同時代でも文化圏が違えば生活にも違いが大きかったのだなという感想。 小説自体はサラリとした回想で、穏やかな起伏に富んで味わい深い。
2022/06/06
kawa
昭和19年作、NHKラジオ「朗読」より15分1回で聴き終われる短編。内容はレコード店店主と私の何気ない会話が中心で、取り立てのストーリーあるわけではない。戦争真っただ中にしては穏やかな流れが印象的だが、何んとはなし戦争への不安感も垣間見れる。当時の厳しい検閲への工夫と苦労も連想できるのだが、それはそれとして妙に印象に残る佳作。著者の力量のなせる業なのだろうと思う。
2019/03/05
ももすけ
小説「幻坂」の中にででてきたた作品。 普段は古い作品は敬遠しがちだけども…… 織田作之助の洒落た感じについ さらっと読めて、七坂も登場し、短いながらも時勢が対戦に向かっていることや、せつなさを読み取ることができた。
2018/02/13
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