精神病覚え書
精神病覚え書 / 感想・レビュー
Shinobi Nao
鬱病に睡眠薬中毒が加わった安吾が、その治療のために東大病院に入院し、自分に施される療法や周りの患者を観察した記録がこの『精神病覚え書』。精神の不調というとすぐにトラウマだインナーチャイルドだと心の奥底に潜む抑圧と結び付けられることが多いけれど、そうではなく原因は激烈な祈念に対する現実のアムバランスだという安吾の実感の方が私にはしっくりくる。少なくとも、私が精神的に苦しいと感じる時は、抑圧された意識よりも、この現実との闘いであることがほとんどだから。
2020/11/01
perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇿🇦🇵🇸🇾🇪🇸🇾🇱🇧🇨🇺
安吾が入院した際の体験談エッセイ。概ね合ってるけど当時はこの程度ですら早々知られていない、じゃない今もか。側頭葉てんかんと分裂病(統合失調症)の区別がつかない点は岩波明『狂気という隣人』である小説に関して間違いだと指摘していることの裏付けになる。当時の精神医学の水準なんてそんなものだった。
2022/10/06
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