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続堕落論

続堕落論

続堕落論

作家
坂口安吾
出版社
青空文庫POD
発売日
2016-07-31
ISBN
9784802066921
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続堕落論 / 感想・レビュー

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テツ

安吾好きだな。堕落し堕ちきるところからしか人間は始まらず救われないと語りながら、人間が真に堕ちきることなど決してできはしないと強く信じているところが。三島が評したように安吾には過去も未来もない。ただ今この瞬間の人間の在り方、人間の営み以外のモノゴトなど知ったことではない。未来に約束された美しさなどというまやかしではなく、今このとき、この場所で発露する人間の強さ(醜さ)の中にこそ、人間が持ち得る真の輝きがある。ビビるな。今を生きろ。生きるために必要なら堕落も穢れも何事も恐れるな。人間はそれでも美しい。

2023/04/06

LNGMN

主体的な人間性を取り戻す=堕落するべきだが、堕落しきれるほど人間は強くない。それ故に人はカラクリ=制度をつくり、堕落するために自らの手で制度を壊し、またあらたな制度をつくると坂口は述べる。戦争や天皇制の本質に具体的に言及することで堕落論の人間讃歌がより明確に打ち出されるが、そんな人間の姿を「せつない」とあらわす安吾の眼差しはやさしい。

2024/03/02

門哉 彗遙

「人間の一生ははかないものだが、又、然し、人間というものはベラボーなオプチミストでトンチンカンなわけの分らぬオッチョコチョイの存在で、あの戦争の最中に、東京の人達の大半は家をやかれ、壕にすみ、雨にぬれ、行きたくても行き場がないよとこぼしていたが、そういう人もいたかも知れぬが、然し、あの生活に妙な落付と訣別しがたい愛情を感じだしていた人間も少くなかった筈で、雨にはぬれ、爆撃にはビクビクしながら、その毎日を結構たのしみはじめていたオプチミストが少くなかった。」人間は図太い。

2024/10/07

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