十二月八日
十二月八日 / 感想・レビュー
futomi
主婦の日記という形式の小説。1931年12月8日朝、近所のラジオから、西太平洋にて米英軍との戦闘についての発表が聞こえてくる。後の世に役立つだろうからと、今日のことはきちんと書き残しておこうと記す。彼女の胸中は高揚でも恐怖でもなく淡々と。既に隣組組織がある、物資も不足し、買い物には三割もの税金がかかっている。銭湯帰りには灯火管制で真っ暗闇を帰路に。そんな暮らしの状況は見えてくる。作者の気持ちはどこにあるのかは隠されている。
2020/01/11
Visor
俺が戦争文学特集的なので読んだのはこっちだったかもしれない。あるいは試験問題か。 太宰の一人称の女は、清少納言のように完成がみずみずしいし、それを言葉にできる知的な側面がある。人間である。これこそがフェミニズム文学だと思うが、文学を読まないくせにそれは浅薄か。 特に赤ちゃんをお風呂に入れるのが好きだというくだりが好きだ。
2020/09/11
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