丸山健二 掌編小説集 人の世界
丸山健二 掌編小説集 人の世界 / 感想・レビュー
takaichiro
戦前生まれの丸山さん。今年で齢76歳。50年以上前に芥川賞を取った大作家。この世に生きる様々な人間の営みをそれぞれ1ページずつ約90ページ並べた「われは何処に」。圧倒的な語彙の力に気絶しそうになった。一人ひとりの人間がそれぞれ違う考え、感情、境遇で同時並行且つ連続性を持って生きる。社会とはこういうことだなと、久しぶりに心に感じられた本作。満員電車に揺られ嗅ぐ人間集団のニオイまで鼻腔に届く程でした。豊富な語彙の力をまざまざと見せつけられ、今後も一歩一歩言葉道を前進したいと決意できた作品でした。
2019/09/06
メルコ
"丸山健二 掌握小説集"とあるように、わずか一頁の短い文章を連ねた「われは何処に 」、一頁ごとに区切られているものの中編としても読める「風を見たかい?」を収録。「われは何処に」はほとんど句点がなく、文章はとめどなく続いていく。難しい言葉も多々あるが、文章のリズムが独特で独自の世界観を作り出していた。著者の作品は上下巻に分かれるような長編が多く、まずは入門編として手に取ってみた。
2023/02/06
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