水族―井辻朱美歌集 (双書ー現代女流短歌)
水族―井辻朱美歌集 (双書ー現代女流短歌) / 感想・レビュー
くさてる
恐竜、水、エルリック、神話をモチーフにした幻想的な短歌と、それらのテーマに関するエッセイなどが収録。僅かな字数のなかに、豊潤なイメージが実感をともなって目の前に広がっていくような短歌が多い。ファンタジックなテーマにも関わらず、不思議と地に足がついた感覚を得て、よりリアルに感じられる読後感が面白かった。
2012/04/11
katka
井辻さんの訳業以外のことに実はあまり存じなかったので触れてみました。こちらは86年のです……「フェンリル」や「世界樹」「太陽風」などの語が巻頭から押し詰めで時の勢いが熱いです。今頃の頽廃した世俗には許されざるかもしれません。歌趣は一巻を通して裏表や巧まない率直な熱情をいっていて、FT語彙がすごく目に映えるだけにむしろ黙読で読み流すものではありません。それを吐息に籠めて囁き、口ずさみには舌が回らないところのややハードルはあります。
2024/09/12
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