梶井基次郎小説全集
梶井基次郎小説全集 / 感想・レビュー
がぉ@春待人
「屍骸はみな腐爛して蛆がわき、堪らなく臭い。 それでゐて水晶のやうな液をたらたらとたらしてゐる。 櫻の根は貪婪な蛸のやうに、それを抱きかかへ、いそぎんちやくの食糸のやうな毛根を聚めて、その液体を吸つてゐる。」 [櫻の樹の下には]より。 梶井基次郎は天才である。 彼にかかれば、当たり前な事柄もかように怪異を持った事実と化す。 自らの身近なものを題材に、その心のうちを繊細に描き出した作品集。 31年で閉じてしまった生涯が非常に惜しまれる。
2014/04/11
TOMOMI INOUE
なんて正直な人なんだろう。正直過ぎて無防備で、それ故に神経質で繊細すぎる感覚が独りでに傷ついていく。誰も傷つけなくても、勝手に自ら傷ついていく。憂鬱、陰惨、孤独、妄想、薄弱、幻覚、影、倦怠、闇、二重人格。そして強すぎる自意識。梶井さんの作品はみな、小さな箱に押し込められた意識が、なんとか外に抜け出そうともがいているような感じがします。どの作品も強烈に生真面目で憂鬱なので、元気がない時に続けて読むと気が滅入ってしまうので注意です。
2013/08/18
kazuyoshi
⚪︎
2014/03/27
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