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写真集 忘れられた人々

写真集 忘れられた人々

写真集 忘れられた人々

作家
馬小虎
李 丹
出版社
電子本ピコ第三書館販売
発売日
2006-09-25
ISBN
9784807406166
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写真集 忘れられた人々 / 感想・レビュー

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内島菫

1989~1990年に撮られた中国の精神病院や家庭そして最終的に行きつく先の路上での精神病患者たちの写真集。どの写真も、非常に堅固な構図で患者たちの存在感を示しているように思われた。そしてその場を占める静けさと孤独。それにしてもどの病院も家庭も刑務所か廃墟にしか見えず、「忘れられた」というよりも、(家族や病院関係者以外の)社会全体による「忘れたい」「見たくない」という底知れぬほどの強い意志が確かに存在していることが感じられて恐ろしかった。

2019/07/27

ジョニーウォーカー

中国全土を巡り、そこで暮らす精神病者たちの境遇をとらえた記録的写真集。金具だけのベッドに裸のまま放置された女、民家の裏庭に何年も鎖でつながれたままの男…。そこには、もはや人ではなく“見てはならない家畜”としての悲しい姿があった。国からろくな治療も受けられず、地域や家族からも見放された彼らの瞳は、いったい何を映すのだろう。世の中には、キレイごとでは片付けられない絶対的な絶望が存在する。生命とはけっして平等ではないことも、まざまざと見せつけられた。自分にとって彼らは「忘れられない人々」となった。

2009/12/01

ジョニーウォーカー

先日読んだ『屠場』(本城成一:写真)になぜか触発され、久しぶりの再読。鎖につながれ、檻のような小屋に幽閉された中国の精神病者たち。この写真集に感じる悲しさは、彼らの多くが、国や地域、そして家族からもまるで「存在しない人」のように扱われているところにある。家畜として丹念に育てられ、最後は食肉となることを宿命づけられた屠場の牛たち。立場も状況もまったく異なるが、両者の姿はどこか重なるものがある。不謹慎かもしれないがそう感じた。タイトルの「忘れられた人々」という言葉の重みに、いまさらながら気づいた。

2011/09/07

kenitirokikuti

1993年刊行の、中国の精神病院の写真集。「正確な政治的立場がなければ、魂がないと同じである」(毛沢東語録)。この考えが精神病にも適用された。まともな治療は行われない▲暴れるため、鎖につながれた患者。重い鬱や自閉のため食事をとることができないのであろう、痩せ衰えて骨と皮だけになった患者。撮影の数ヶ月後に死亡というキャプションも散見され、気が重くなる。

2017/10/01

まっし

ここで取り上げられていたのは中国ですが、日本でもかつてはこんな現場があったのだと思うと、いや、現在でもどこかにあるのだと考えると背筋が凍ります。目をそらしたくなるけど、たしかに存在する現実。精神疾患を精神疾患たらしめているのは、実は社会なのに、そんなことはお構いなしに彼らの人権を奪っていく。ページをめくるたびに、顔がこわばりました。

2012/05/14

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