死刑執行人の歌 上: 殺人者ゲイリー・ギルモアの物語
死刑執行人の歌 上: 殺人者ゲイリー・ギルモアの物語 / 感想・レビュー
ミカママ
【ピューリッツァー賞・原書】ゲイリー・ギルモアの生涯と、死刑判決までがbook1。523ページの内容を数日で読み上げた。まずは著者の取材力に圧倒される。そして取材内容を再構築した彼の構成力にも。時おり読者にささやきかける著者の声が聴こえるようだ。「これはフィクションなんだぞ」と。高卒の資格すらないゲイリーの、高い知能を思わせる手紙や証言の数かずが痛々しい。彼とニコールは、出逢うべきして出逢ってしまったのだろう。実際に読んでいるのは:https://bookmeter.com/books/3102396
2019/04/05
ケイ
殺人者ゲイリー・ギルモア、仮出所から親戚の住む街での生活、犯罪、裁判まで。上巻だけで二段組みで600ページ弱。たくさんの人物の背景まで詳細に記される記述にすでに読み終えた気分なのだが、 さらに長い後半には何が描かれているのだろう。ノーマン・メイラーは「裸者と死者」を読んで感動し、他に作品はないかと思っていたところ、モルモン教関連の本からこちらを知る。下巻を読んだら村上春樹訳の『心臓を貫かれて』を読む予定。感想は下巻に。
2019/03/15
春ドーナツ
「心臓を貫かれて」は家族の物語、本書はゲイリーとニコールの物語という印象を持つ。たぶん、トルーマン・カポーティの「冷血」を読んだときに、ノーマン・メイラーのことを知ったのだと思う。いつか読んでみたいと計画しつつ平成は終わっていた。587頁で二段組にたじろぐ。ゲイリーの肉声やあらゆる周辺情報の総量はナイアガラの滝のようだ。何も聞こえないし、何も見ることができない。そのうちに無感覚になった。ゲイリー・ギルモアは常に薄暗い磨りガラスの向こうにいた。下巻を読み終えても私は彼に接近することはできないような気がする。
2020/06/09
ブラックジャケット
私の読書体験の中でもカポーティの「冷血」は、ズッシリと身体に刻印された。1979年にノーマン・メイラーが発表した本作は、連続殺人で死刑を宣告されたゲイリー・ギルモアを題材にしたノン・フィクションである。しかしメイラーの方法論はすさまじい全体小説志向だ。力技で積み上げる。十数年死刑が行われたことのないユタ州で、死刑宣告を受けたゲイリーと周辺の人物を底網漁的に活写する。上巻末では兄ゲイリーを描いた「心臓を貫かれて」を上梓した末弟のマイカルが登場する。70年代アメリカそのものを鷲掴みする。巨編になるわけだ。
2018/01/25
tai65
星4つ
2017/02/13
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