獣 太宰治・宮沢賢治ほか (文豪ノ怪談 ジュニア・セレクション)
獣 太宰治・宮沢賢治ほか (文豪ノ怪談 ジュニア・セレクション) / 感想・レビュー
mocha
中島敦『山月記』小川未明『牛女』宮沢賢治『注文の多い料理点』与謝野晶子『お化けうさぎ』は何度も読んだ作品。怪談だと思って読んだことはなかったけど、何度読んでも味わい深い。芥川龍之介『馬の脚』は自虐と風刺が効いている。坂口安吾『関山』の修行に励む狸はモリミー作品を読んでるみたいだった。太宰治『尼』梶井基次郎『交尾』は幻想的な味わい。泉鏡花『蛇くひ』は生理的に怖い。このメンバーでは編者が解説で『文スト』を語りたくなるのもしょうがないな。
2018/08/22
モモ
中島敦『山月記』人間が虎に変身する話は中国の伝奇小説に多いのだそう。虎の犠牲になる女性が遺すかんざしが恐ろしさを増す。芥川龍之介『馬の脚』は手違いで死んだ男に与えられた馬の脚。その脚が馬の本能のまま動きまわる恐怖。坂口安吾『閑山』放屁が止まらない…太宰治『尼』男の部屋に訪ねてきた若い尼。妹だと思い部屋の中に入れてから、自分には妹いない!と気が付く男。梶井基次郎『交尾』は不思議な読後感。交尾ではなく、しっかりと抱き合う二匹の猫。泉鏡花『蛇くひ』乞食たちの蛇の料理の仕方が怖すぎる。『獣』も良かった。
2020/10/06
mii22.
ジュニア向けの文豪怪談アンソロジー4冊目。「獣」がテーマ。ジュニア向けだがすべて原文を使用、分かりやすく総ルビ詳細な注釈がつけられている。編集のセンスのよさが光るシリーズ。怪談というよりもケモノとヒトとのかかわりを描いた不思議な物語というものが多い。結局本当に恐ろしいものはケモノではなく、心にケダモノを飼っている人間なんですよね。
2022/08/19
キジネコ
泉鏡花の「蛇くい」に「お月さんいくつ」の呼に対して「お十三七つ」と応じる乞食の集団が登場致します。彼の集団の仕様が怖いのは怖いのですが、件の呼応、全国で歌われるわらべ歌ね…の先の、浅学のキジには、意図がつかめず気になって仕方がありません。分かればもっと楽しめるのに…と悔しくもあります。未明さんの「牛女」は切なく、晶子さんの「お化けうさぎ」は可愛らしく。基次郎さんの「交尾」は美しい物語です。9つの怪奇譚のうち今回は安吾さんの「閑山」を一押しという事で。教えて頂いて面白く楽しみました。感謝です、都わすれさん。
2020/09/23
tomi
獣にまつわる奇怪で幻想的な物語9篇。教科書で習って以来たびたび読んでいる中島敦「山月記」、やはり数回目の宮沢賢治「注文の多い料理店」はじめ再読の作品が多かった中、タイトルのみ知っていた芥川龍之介の「馬の脚」はこんな奇想天外な話だったとは!ユーモラスでもあり皮肉っぽくもある怪作。怪作ぶりでは坂口安吾の「閑山」もなかなか。与謝野晶子の童話「お化うさぎ」は怖いというよりは可愛らしい話。
2017/12/27
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